斎藤きくこは呆然としていた。杉本瑠璃がなぜここに残りたがるのか分からなかったが、心配だったものの、杉本瑠璃が行かないと言うからには、彼女も行くわけにはいかなかった。
もういい、行かないなら行かない!
彼女も正義を求めるために残ることにした。理由もなく連れてこられたのだ。何も起こらなかったとはいえ、今日杉本瑠璃がいなければ、どうなっていたか分からない。
「ふふ、お前たち二人は全然心配してないようだな。ふん!一時的に油断して失敗したからって、天下無敵だと思うなよ。ここは俺の縄張りだ。後でお前たちに見せてやる!」
メクラさんは半蹲踞の姿勢で、お尻を突き出し、とても滑稽な格好をしながら、杉本瑠璃を脅す言葉を吐いていた。
杉本瑠璃は軽く唇を歪め、「へぇ?後でどんな目に遭わせるのか、楽しみですね」
メクラさんは本当に腹が立って仕方がなかった。今日は完全に計算違いだった。だからこそ、この二人の女は今日必ず捕まえなければならない。
そうでなければ、噂が広まったら、今後どうやって生きていけるか。
すぐに、向こうから足音が聞こえてきた。足音は乱れており、明らかに大勢の人間が来ていた。
斎藤きくこは少し心配になり、表情に緊張の色が浮かんだ。杉本瑠璃は無表情で、まったく心配している様子はなかった。そして最も喜んでいたのは、当然メクラさんだった。
彼の手下が到着した。これからこの二人の生意気な女をどう懲らしめてやるか。
ふん、さっきはいい機会だったのに逃げなかった。本当に自分が何様だと思っているんだ、誰も恐れないとでも!
「メクラさん、人が来ました!」
先ほど叱られた手下が急いで取り入ろうとした。彼も追い出されたくなかったので、自ら積極的に動くことにした。
メクラさんは冷たく鼻を鳴らし、「早く、この二人の生意気な女を捕まえろ!」
メクラさんの命令一下、すぐに大勢の男たちが近づいてきた。八、九人ほどの男たちで、体格は良く、一目で力が強そうなのが分かった。
杉本瑠璃と斎藤きくこがただの女の子二人だと分かると、これらの男たちは躊躇して、すぐには手を出さなかった。
「お嬢さん、事を荒立てない方がいいでしょう。本当に喧嘩になったら、あなたたちが得をすることはないと思います。メクラさんを解放して謝罪すれば、この件は終わりにできますが、いかがでしょうか?」