第349章 杉本グループ(33)

羽田和彦も、水瀬英明が杉本瑠璃の名前を聞いて、パラダイスのオーナーだと知っているからこそ、そんなに驚いているのだろうと思った。

結局のところ、杉本瑠璃のパラダイスがオープンした時、Y市で大きな話題を呼んだのだ。

しかも、パラダイスのオープン当日、来場した人々は、みな身分の高い人ばかりだった!

誰一人として水瀬家に引けを取らない!

ふん、どうやらこの水瀬英明は以前、杉本瑠璃が誰なのか知らなかったから、こんな無謀にも彼女を騙し込んだのだろう。

少し不謹慎な言い方だが、この水瀬英明が気の毒になってきた。

誰を怒らせてもいいのに、よりによって杉本瑠璃を怒らせるとは!

この娘は、普段は穏やかそうに見えるが、実際は骨の髄まで三島悠羽というあの老狐と同じで、人を出し抜くのが得意なのだ。

今回、水瀬英明は杉本瑠璃を怒らせ、このような失態を演じてしまった。これからの日々は相当厳しいものになるだろう。

杉本瑠璃が水瀬英明をどう扱うかは分からないが、三島悠羽のやり方はよく知っている。

杉本瑠璃は三島悠羽によく似ているから、水瀬英明の末路は相当悲惨なものになるに違いない。

しかし、羽田和彦が面白がって成り行きを見守っているところに、彼を驚愕させ、受け入れがたい事実が飛び込んできた。

「あ...あ...あなたが杉本瑠璃?」水瀬英明は吃り始めた。

杉本瑠璃は目を細め、唇を軽く上げ、意味深な笑みを浮かべた。その様子は人の心を揺さぶるものだった。

紅い唇を開き、一言一句はっきりと言った。「そう、私が杉本瑠璃よ。あなたの知っているその杉本瑠璃」

ドーン!

水瀬英明は頭が爆発したような感覚に襲われた!

彼は馬鹿ではない。杉本瑠璃が世間知らずどころか、すべてを知っていたことに気付いた。

つまり、最初から杉本瑠璃は彼が水瀬家の人間だと知っていた。そうでなければ、「あなたの知っているその杉本瑠璃」とあんなに確信を持って言えるはずがない。

自分は...本当に油断していた!

「お前!お前...お前!」水瀬英明は興奮のあまり、何を言えばいいのか分からなくなった。

「お前」を三回続けた後、怒りと衝撃を込めて言った。「お前が三島様の新婚の妻か!」

えっ?

新婚の妻?

誰の?

ちょっと待て!

羽田和彦は理解できなくなった。三島様って...?