第374章 私は道場破りに来ました!(18)

杉本瑠璃と清水翔太はさらに少し話をした後、往診の時間を約束して別れた。

杉本瑠璃が三島悠羽の専用エリアに戻ると、三島悠羽と羽田和彦は彼女を見つめていた。明らかに羽田真央が先ほどの出来事を彼らに伝えていたのだ。

「蒼ちゃん...」羽田和彦がそう呼びかけた瞬間、背筋に冷たい風を感じた。

三島悠羽の方を振り向くと、案の定、深い意味を込めた目で見られていた。

羽田和彦と三島悠羽は長い間睨み合っていたが、結局羽田和彦が折れた。

杉本瑠璃の方を向いて、非常に不本意そうに「お義姉さん」と呼んだ。

プッ!

杉本瑠璃はそれを聞いて、思わず吹き出してしまった。

お義姉さん?

この呼び方は本当に気持ち悪すぎる。でも彼女にはわかっていた。羽田和彦は自分からそう呼びたくなかったはず。きっと三島悠羽に強要されたのだろう。

呼び方自体はあまり気にしていなかったが、このお義姉さんという呼び方は本当に違和感があった。

「お義姉さんなんて呼ばないで。私、そんなに年上じゃないから。前みたいに名前で呼んでくれていいよ。」

杉本瑠璃は三島悠羽に逆らうつもりはなかったが...ただ羽田和彦の以前の呼び方の方が慣れていた。

羽田和彦は即座に喜び、三島悠羽に挑発するような目配せをした。

まるで自分が勝って三島悠羽が負けたかのような態度だった。

本来なら三島悠羽の挫折した表情を見たかったのだが、残念ながら、三島悠羽の冷静な表情以外には何も見られなかった。

はぁ!

つまらないなぁ!

三島悠羽の表情の変化を見るのは本当に難しい。

しかし羽田和彦は、三島悠羽の心の中できっと血を吐いているに違いないと確信していた。そう思うと途端に気分が良くなった。

特に...三島悠羽が杉本瑠璃の言葉に反論しなかったことが。

つまり、これからまた「蒼ちゃん」と呼べるということだ。

「蒼ちゃん、さっきの英雄的な行動のこと、もう聞いたよ。君がそんな戦闘派だとは思わなかったな。どう?水瀬家のあの二人、かなりやられたみたいだけど?」

三島悠羽の親友として、羽田和彦は三島悠羽の水瀬家に対する態度をよく知っていた。

実際、彼も水瀬家の人々に好感は持っていなかった。水瀬家の人々は演技が上手すぎる。彼が一番嫌いなのは、そういう偽善的な人々だった。