第372章 私は道場破りに来ました!(16)

皆は杉本瑠璃を見つめていた。彼らは杉本瑠璃の気迫が強いと感じていたが、大半の人々は、杉本瑠璃が三島悠羽の妻だからこそ、このように堂々と話せるのだと思っていた。

しかし、そうであっても、彼らの中の多くは、杉本瑠璃のこの勇気を称賛していた。

結局のところ、三島家にいながら、名目上の姑にこのような物言いができるなんて、誰にでもできる勇気ではないのだから。

「霧乃、早く身なりを整えに行きなさい。今の姿は何なの?早く行きなさい!」

水瀬玲奈は水瀬霧乃に目配せをした。水瀬霧乃も今日の計画が失敗に終わったことを理解していた。

なぜ失敗したのだろう?これはすべてあの清水翔太のせいだ。

清水翔太は性格が冷淡で、見知らぬ人とは関わりたがらないと聞いていたのに。

なぜ口を出してきたのか、本当に腹が立つ!

「はい、私はちょっと身なりを整えてきます。」

水瀬霧乃は今が最高の退場のチャンスだと知っており、この機会に逃げ出した。

杉本瑠璃も水瀬霧乃を追及することはしなかった。どうせ今日、皆が水瀬霧乃の本性を見たのだから、きっと水瀬霧乃に対する印象も変わったはずだ。

羽田真央は杉本瑠璃の袖を引っ張り、あの数人のお嬢様たちを見て、水瀬霧乃は去ったが、まだあのお嬢様たちが残っていることを示した。

先ほどあのお嬢様たちも楽しそうに話していた。彼女たちの言葉を聞く限り、三島悠羽に対して不純な思いを抱いているようだった。

確かに、一部の発言は水瀬霧乃に誘導されたものだったが、彼女たちの心もそれほど清らかではないだろう。

杉本瑠璃がそのお嬢様たちの方を向くと、彼女たちは緊張した面持ちになった。

すると杉本瑠璃が言った。「あなたたちについては……」

お嬢様たちは不安げに杉本瑠璃を見つめた。杉本瑠璃の言葉が引き延ばされているように感じられ、心が落ち着かなかった。

水瀬霧乃でさえあれほど叱責されたのだから、彼女たちには水瀬霧乃のように守ってくれる伯母もいないのだ。

「あなたたちがどんな気持ちを抱いているかは知りませんが、三島悠羽が死ぬその日まで、妻は私一人だけです。もちろん、試してみたければ構いませんよ。私は反対しません。ただし、警告しなかったとは言わせませんからね。三島悠羽は深刻な潔癖症です。もし彼が気分を害して、あなたたちをどこかに放り投げても、私は知りませんよ。」