第385章 私は道場破りに来た!(29)

長年、水瀬玲奈は三島悠羽を足手まといだと思っていたが、三島聡が三島グループを狙って忍耐を重ねていたことなど、想像もしていなかっただろう。

もし水瀬玲奈がそれを知ったら、どれほど後悔することだろう。

三島聡は三島家での人脈も悪くなかった。三島聡の謙虚さと寛容さのおかげで、水瀬玲奈も時々三島聡に優しく接し、時には褒めることさえあった。

ふふ、もし彼女が知ったら、三島悠羽の他にもう一人、対処しなければならない人物が増えることになるだろう。

それもいいだろう。水瀬玲奈が三島聡に注目することで、三島悠羽と杉本瑠璃の心配も少し減るだろう。二人の争いを見守るのも悪くない。

「そうなるでしょう。水瀬玲奈には独自の手段があります。今日の件で、彼女はすでに何かおかしいと気づいています。だから、あの使用人に対して、あらゆる手段を使って白状させるはずです。」

三島悠羽は自信に満ちた様子で、まるで実際に見てきたかのように話した。

「じゃあ...三島聡があなたを陥れようとするかもしれないわね?」

この件は元々三島悠羽が水瀬玲奈への誕生日プレゼントとして仕組んだものだから、厳密には陥れとは言えないのだが。

しかし杉本瑠璃は、三島聡が傍観者として事の成り行きを見守るのは好ましくないと思った。

「ないでしょう。たとえ三島聡が指示したとしても、あの使用人は敢えてそうはしません。」

三島悠羽の唇には常に淡い笑みが浮かんでいて、落ち着きすぎているほどだった。

杉本瑠璃は首を傾げて三島悠羽を見つめた。何度試しても、本当に三島悠羽の心の内を読み取ることができなかった。

「どうして?」

あの使用人はすでに金を受け取っているのだから、水瀬玲奈の怒りを買うようなことまでしたのに、何を恐れることがあるというの?

三島悠羽は杉本瑠璃と完璧なターンを踊りながら、優雅な姿勢で答えた。

「私がより多くの金を出して、どんな状況でも真実を話すように買収したからです。」

ぷっ!

杉本瑠璃は笑いを噴き出しそうになった。黒い瞳で三島悠羽を見つめ、彼の腹黒さに呆れた。

三島聡は今回本当に思わぬ失態を演じてしまったようだ。

「三島悠羽、今になって少し安心しているわ」杉本瑠璃は感慨深げに言った。

三島悠羽は杉本瑠璃を見て尋ねた。「何が?」