第409章 新しい世界に入った（19）

杉本瑠璃は慌てて三島悠羽に手を振り、少し焦った様子で言った。「やめて！絶対に聞かないで！お父さんの前でそんな質問をしたら、絶対に殴られるわよ！」

三島悠羽は口元を緩めて微笑んだ。「うん、わかった。聞かないならそれでいい。奥さまの言うことを聞くよ。どうせいつ関係を進展させるかは、お義父さんとは関係ないし、主に奥さまの意向次第だからね。」

ごほっ、ごほっ！

杉本瑠璃は完全に動揺していた。彼女は知っていた、三島悠羽と話すときは注意しなければならないということを。なぜなら、いつの間にか三島悠羽の罠に落ちてしまうからだ。

この男は、本当に恐ろしい。

杉本瑠璃は三島悠羽に二階へ連れていかれ、身支度を整えてから大きなベッドに潜り込んだ。

「今日、記者が君にトラブルを仕掛けたって聞いたけど？」三島悠羽の情報網は、いつも非常に優れていた。

もちろん彼も知っていた。これらの記者たちが探っていたのは杉本瑠璃のトラブルではなく、斎藤きくこのトラブルだということを。

しかし三島悠羽から見れば、この件に杉本瑠璃が関わった以上、それは杉本瑠璃の問題だった。

杉本瑠璃の問題なら、夫である彼がどうして知らないはずがあるだろうか？

「そんな小さなことまで知ってるのね。」杉本瑠璃は微笑んだ。

「奥さまに関することなら、小さなことなど一つもないよ。」三島悠羽の言葉は非常に強引でありながらも自然で、まるでそれが当然であるかのようだった。

杉本瑠璃は表面上は何も表さなかったが、否定できないのは、三島悠羽のこの言葉で心の中が蜜を食べたかのように甘くなったことだ。

実は杉本瑠璃は甘い言葉が好きではなかった。なぜなら三島悠羽が言う言葉は、一言も人をあやすためのものではないからだ。彼は思ったままを表現し、決して意図的に心にもない言葉を言うことはなかった。

しかし三島悠羽のこの性格があるからこそ、彼の言葉はより貴重で、重みがあるのだ。

「あの人たちは誰かが情報を流して、わざわざ杉本瑠璃を狙ってきたんだわ。あなたはフロラルの最終的な大ボスでしょう？フロラルは世界最高の映像会社なんだから、このくらいのことは分かっているはずよ。」