メクラさんは杉本瑠璃の言葉を聞くと、すぐに喜色満面となった。杉本瑠璃のこの一言で、彼はずっと安心したのだ。
「へへ、やっぱり三島夫人は話も行動も信頼できると思っていました。では先に三島夫人にお礼を言わせていただきます!」
杉本瑠璃はメクラさんを一瞥してから言った。「私のことは杉本さんと呼んでください。あなたの件は実は簡単です。今すぐ業種を変えれば、水瀬家はあなたをそれほど追い詰めないでしょう。結局...あなたも知っているように、水瀬英明とあなたの間には取引がありました。あなたがもうこの業界に関わらず、厳しい取り締まりのリストに載らなければ、水瀬家の人間があなたに手を出したいと思うでしょうか?」
水瀬家はバカではない。メクラさん一人のために自分たちに面倒を招く必要はないのだ。
メクラさんはもちろん杉本瑠璃の言っていることを理解していたが、彼には他に道がなかったのだ。
以前彼が水瀬英明を訪ねたのも、水瀬家が厳しく取り締まる時に、彼だけは見逃してもらえないかと尋ねるためだった。
しかし水瀬英明は直接答えなかったものの、メクラさんも理解していた。もし彼がこの仕事を続けるなら、水瀬家は確実に彼を見せしめにするだろう。
「でも...」メクラさんが口を開きかけたが、杉本瑠璃にすぐに遮られた。
「あなたが何を言いたいのかわかります。要するにこの業界を離れたくないということでしょう。でも今はっきり言っておきますが、それは不可能です。生き残りたいなら、それしかありません。私と水瀬英明の違いは、私はあなたに明確な道を示せるけれど、水瀬英明はそもそもあなたに道を示そうとしないということです。」
メクラさんはしばらく考え込んだ。彼は杉本瑠璃の言うことがすべて真実だと知っていた。
水瀬英明と彼の関係は、常に互いを利用し合う関係だった。しかし関係が切れれば、水瀬英明は間違いなく最初の機会に彼を見捨てるだろう。
道を示さないどころか、水瀬英明が彼に道を示さないだけでも、まだましな方だった。
「わかりました!どうせ今は行き詰まっているんだ。杉本さん、どんな道を示してくれるんですか?」
メクラさんもようやく理解したようだった。以前は杉本瑠璃が誰なのか知らなかったので、もし以前杉本瑠璃がこう言っていたら、彼は絶対に信じなかっただろう。