010救い、特進クラス

青龍バー。

清水通りの橋の近くにあり、広大な敷地を占めている。

サソリは青龍バーで最も強い用心棒だった。命知らずの性格で、この通りでは有名で、ほとんどの者が彼を恐れていた。そのため、バーで騒ぎを起こす者はほとんどいなかった。

バーの奥の休憩室に座り、タバコに火をつけたところだった。

「バン——」

ドアが開かれた。

サソリが適当に顔を上げると、タンクトップの男が目に入った。

彼は若い女性の後ろに立っていた。

「よう、伊藤坊ちゃま」明らかに彼はタンクトップの男を知っていたが、伊藤坊ちゃまと呼びながらも、その口調には敬意が感じられなかった。サソリは彼の後ろの女性を食い入るように見つめ、「これは俺への贈り物かい?ハハ、安心しろよ、伊藤坊ちゃま。お前の義理の親父の前で、しっかり後押ししてやるからさ!」

タンクトップの男は、かつての自分を見るような目でサソリを見た。

白川華怜がゆっくりと近づいた。

サソリは一瞬驚き、それから笑みを浮かべながら白川華怜に手を伸ばした。「伊藤坊ちゃま、なかなかいい女を選んだ……」

「バン——」

彼は椅子もろとも床に蹴り倒され、胸の骨が一本折れた。

サソリは目つきを険しくし、痛みをこらえながら立ち上がり、白川華怜の顔めがけて渾身の一撃を放った!

白川華怜は一歩も動かず、ただ落ち着き払って手を上げ、サソリの驚愕の表情の中、その拳を受け止めた。

月白の裾がそよそよと揺れる。

「バキッ——」

指の関節が折れる音が響いた。

「てめえ、死に——」

「バン」という音とともに、彼は再び白川華怜に激しく床に叩きつけられた!

サソリはこんな異常な光景を見たことがなかった。彼は恐怖に満ちた目で白川華怜を見つめた。

二国の境界地域は複雑で、実力なしでは生き残れない場所だ。

彼の腕前は非常に優れていると言えた。実際、彼が国際的に暗躍していた時代にFBIですら手を焼いていたことを知る者は少なく、だからこそバーのオーナーに目をかけられたのだ。

青龍バーの最強の用心棒として、格闘場のNO.1でさえ彼を倒すのには一苦労するはずだった!

サソリは息も絶え絶えに、床から起き上がれないまま言った。「俺、あんたに何か恨みでも?」