青龍バー。
清水通りの橋の近くにあり、広大な敷地を占めている。
サソリは青龍バーで最も強い用心棒だった。命知らずの性格で、この通りでは有名で、ほとんどの者が彼を恐れていた。そのため、バーで騒ぎを起こす者はほとんどいなかった。
バーの奥の休憩室に座り、タバコに火をつけたところだった。
「バン——」
ドアが開かれた。
サソリが適当に顔を上げると、タンクトップの男が目に入った。
彼は若い女性の後ろに立っていた。
「よう、伊藤坊ちゃま」明らかに彼はタンクトップの男を知っていたが、伊藤坊ちゃまと呼びながらも、その口調には敬意が感じられなかった。サソリは彼の後ろの女性を食い入るように見つめ、「これは俺への贈り物かい?ハハ、安心しろよ、伊藤坊ちゃま。お前の義理の親父の前で、しっかり後押ししてやるからさ!」
タンクトップの男は、かつての自分を見るような目でサソリを見た。
白川華怜がゆっくりと近づいた。
サソリは一瞬驚き、それから笑みを浮かべながら白川華怜に手を伸ばした。「伊藤坊ちゃま、なかなかいい女を選んだ……」
「バン——」
彼は椅子もろとも床に蹴り倒され、胸の骨が一本折れた。
サソリは目つきを険しくし、痛みをこらえながら立ち上がり、白川華怜の顔めがけて渾身の一撃を放った!
白川華怜は一歩も動かず、ただ落ち着き払って手を上げ、サソリの驚愕の表情の中、その拳を受け止めた。
月白の裾がそよそよと揺れる。
「バキッ——」
指の関節が折れる音が響いた。
「てめえ、死に——」
「バン」という音とともに、彼は再び白川華怜に激しく床に叩きつけられた!
サソリはこんな異常な光景を見たことがなかった。彼は恐怖に満ちた目で白川華怜を見つめた。
二国の境界地域は複雑で、実力なしでは生き残れない場所だ。
彼の腕前は非常に優れていると言えた。実際、彼が国際的に暗躍していた時代にFBIですら手を焼いていたことを知る者は少なく、だからこそバーのオーナーに目をかけられたのだ。
青龍バーの最強の用心棒として、格闘場のNO.1でさえ彼を倒すのには一苦労するはずだった!
サソリは息も絶え絶えに、床から起き上がれないまま言った。「俺、あんたに何か恨みでも?」