中村優香は冷たい表情を浮かべ、それ以上は何も言わなかった。
心の中では落ち着かない気持ちが渦巻いていた。
隣にいた田中駆はすでに気づいていた。彼は最初、白川華怜に気付かなかったが、中村優香の話を聞いて、あの夜道で見かけた人物だと思い出した。
中村家の何かしらの親戚らしい。
白川華怜が中村家のコネで特別クラスに入ったというなら、それほど意外でもない。
彼は頷いて、引き続き問題を解き続けた。
他の生徒たちは互いに顔を見合わせた。
特別クラスの生徒は全員、このクラスの目的を知っていた。
江渡大学予備枠アプリの枠だ。
ここに入れる生徒は実力者ばかりで、入学試験では数学が極めて難しく、理科総合は簡単な問題ばかりだった。ここにいる生徒の中には理科総合で満点を取った者が何人もいる。
85点なんて、ここどころか学校全体でも前例がないほどだ。
「85点?」時戸綾音は声を上げた。「どうやってここに入れたの?」
彼女は成績優秀で、家庭の事情で幼い頃から人脈作りを学び、学校では仲間を作り、他の一般生徒を見下すような態度を取っていた。
白川華怜のこの時期のこの点数でここに入れたのは、明らかに「コネ入学」だ。
しかし時戸綾音はそれほど気にしていなかった。コネで入学したとしても、田中家や中村家以上の力があるはずがない。
白川華怜とLINEを交換しようと思った生徒も、その場で思いとどまった。
「今日はどうしてこんなに静かなんですか?」代理で来た高校三年八組の担任で、高校三年物理学年主任の先生は、眼鏡をかけ、プロジェクターを開いて授業を映し出しながら、笑顔でこれらの優秀な生徒たちを見た。「今日もいつも通り、みんな一時間半講義を見て、三十分問題を解いて、八時に帰りましょう」
映し出されたのは江渡附属中学校の名物教師競争クラスの授業録画だった。
数学と物理が交互に映し出される。
今日は物理だった。
八組の担任は再生を始めると、自分も筆記用具を持って後ろに座り、生徒たちと一緒に見始めた。
今日の物理は電磁気学と相対性理論で、映像は非常に分かりやすく説明していた。白川華怜はペンを置き、真剣に聞いていた。特殊相対性理論から電磁気学まで、白川華怜は初めて時間の膨張という概念に触れた。