安藤秀秋はその気品のある子供を見て、最初は話しかけ方が分からなかったが、相手が素直に挨拶してくれたので、戸惑いながらもポケットにあった白川華怜のためのお菓子を全部木村翼に渡した。
明石真治は横で無表情に立っていた。
白川華怜と安藤秀秋を清水通りまで送り届けた後も、木村翼は白川華怜の服の裾を掴んで離さなかった。
明石真治は慣れていた。木村翼の行動はいつも奇妙だった。
彼は木村浩に報告した。
木村翼は腕時計にメッセージが届いてから、やっと白川華怜の服の裾から手を離した。
木村浩が到着した時には、白川華怜はもう帰っていた。
彼は実験室から出てきたばかりで、着替えもせずに、ただ面倒くさそうに手を伸ばして木村翼の車の窓をノックした。
木村翼は根に持つタイプで、彼を無視した。