026借りるか返すか!月例テスト_2

今では彼は毎日木村浩の解説を理解するのに苦労していて、あの二人の変態のように他の本を読む余裕なんてありませんでした。

「岩田さん」岩田良絵と親しい数人が声をかけました。「あなたたちのグループは本当に運がいいわね。江渡大学物理だなんて、私の人生でそんな本を手に入れる機会があるかどうかわからないわ。」

岩田良絵の口元は硬くなっていました。

他の人は知らないけれど、岩田良絵はよく分かっていました。グループを組んでから、彼女は白川華怜とほとんど言葉を交わしていませんでした。

毎晩のミーティングも、寮に帰るという口実で避けていました。

彼女は荷物をまとめ、他の人をかき分けて、空沢康利の後を追いかけました。

「空沢君、あなた…」

「岩田さん」空沢康利は彼女を見て、頭の中で警報が鳴りました。「髪を洗いに帰らないといけないんでしょう?また今度ね!」

岩田良絵は顔を強張らせたまま、その場に立ち尽くしました。

髪を洗うというのは彼女自身が作った言い訳で、今となっては反論もできません。

空沢康利の背中が遠ざかっていくのを見つめることしかできませんでした。

今になって、8組の担任が言った「協調性」という言葉の意味が分かった気がしました…

**

今週末は月例テストでした。

金曜日の夜、補習授業。

8組の担任は録画を再生し終わると、珍しく笑顔を見せ、うれしい知らせを伝えました。

彼は教壇に手をついて言いました。「みなさんにいいニュースがあります!」

ビデオをコピーしようとしていた生徒たちは立ち止まり、担任の発表を待ちました。

8組の担任は明らかに上機嫌で、階段教室の生徒たちを見渡しながら言いました。「昨日の会議で、校長先生から予備校の登録枠が1つ増えて、つまり今回は2つの枠があることになりました。」

2つ?

今まで学校には1つもなかったのに、今回は2つの枠があるなんて?

中村優香の件で静かだった補習クラスが、ようやく賑やかになりました。

「先生、どうして2つの枠があるんですか?」誰かが興奮して手を挙げました。

担任は首を振りました。「詳しいことは分かりませんが、私たちにとってはいいことです。ですから、みなさん頑張ってください。何でも可能性があるんですから。」

学習の話ではないと分かると、白川華怜は気が散り始めました。