029これを普通だと思うの?

文芸部の部長は宮山小町の腕をつかみ、目で小町にメッセージを送った——

【かっこいい!】

【私、惚れちゃった!】

宮山小町は微笑みながら、彼女に品位を保つように言い、白川華怜を楽屋へ案内した。

高校三年生の転校生は学校で大きな話題になっていた。

生徒会のメンバー数人がピアノ演奏を見終わり、彼女が来たと聞いて、楽屋で様子を窺いに来た。

白川華怜は制服の上着を脱ぎ、水墨画の白鶴が刺繍された白いTシャツ一枚になり、宮山小町が用意した長剣を上下に眺めていた。

長剣は黒い外装に金色の模様が施され、彼女の身長の半分ほどで、一キロ余りの重さがあった。

宮山小町は長剣が重すぎて扱いづらいのではないかと心配していたが、白川華怜は軽々と扱っていた。

まるで一キロ以上ある鉄の剣ではなく、一枚の羽を持っているかのようだった。

白川華怜はしばらく見つめた後、一気に抜き放った。

長剣は刃こぼれしていなかったが、冷たい光を放ち、彼女の黒い瞳に剣の輝きが映っていた。

白川華怜は片手で剣の柄を握り、もう片手で鞘を緩く持ち、黒髪を後ろで束ねていた。彼女は冷たい剣を手に、まるで白衣の剣客のように見えた。

圧倒的な存在感が長剣と共に自然と放たれ、彼女は悠然と長剣を鞘に収めながら、横を向いて「私の番?」と尋ねた。

「ここから上がってください」生徒会のメンバーが我に返り、舞台への入り口を指さした。「ピアノはもう下ろしてあります」

白川華怜がカーテンをくぐって楽屋から舞台に上がると、数人が急いで外へ向かった。

客席で転校生の演技を間近で見るためだ。

外の廊下では、生徒会長と渉外部長が中村優香を見送っているところだった。

「なぜ楽屋にいたの?」会長が彼らに尋ねた。

中村優香のピアノは全国放送で演奏され、賞も取っていて、学校中の誰もが見たがっていたが、中村優香の演奏を見られる機会は極めて少なかった。今回は陽城第一高校の長年のスポンサーが来校するため、学校が特別に中村優香にトリを依頼したのだった。

生徒会のメンバーは皆知っていた。今回は練習でさえ、掲示板では既に大きな期待が寄せられていた。

みんな中村優香を見に来ていたのだ。