029これを普通だと思うの?

文芸部の部長は宮山小町の腕をつかみ、目で小町にメッセージを送った——

【かっこいい!】

【私、惚れちゃった!】

宮山小町は微笑みながら、彼女に品位を保つように言い、白川華怜を楽屋へ案内した。

高校三年生の転校生は学校で大きな話題になっていた。

生徒会のメンバー数人がピアノ演奏を見終わり、彼女が来たと聞いて、楽屋で様子を窺いに来た。

白川華怜は制服の上着を脱ぎ、水墨画の白鶴が刺繍された白いTシャツ一枚になり、宮山小町が用意した長剣を上下に眺めていた。

長剣は黒い外装に金色の模様が施され、彼女の身長の半分ほどで、一キロ余りの重さがあった。

宮山小町は長剣が重すぎて扱いづらいのではないかと心配していたが、白川華怜は軽々と扱っていた。

まるで一キロ以上ある鉄の剣ではなく、一枚の羽を持っているかのようだった。