035 高慢で争わず、ゴミ拾いの拾い_3

しかし安藤秀秋は時間がないはずだ。彼は学生に授業をしなければならない。

「いいよ」白川華怜は物憂げにイヤホンを取り出した。

木村翼は白川華怜の後ろについて、黙って時間を記録した。

「君のアカウントは何?」図書館に戻って、空沢康利は白川華怜の江渡予備校のアカウントを思い出し、声を潜めて尋ねた。

畑野景明も顔を上げた。

白川華怜は後ろにもたれかかり、足を組んで、指先で物憂げにテーブルを叩いた。「白川博」

「白川さん?」空沢康利はかっこいいと思った。

白川華怜は木村翼をちらりと見て、口角を少し上げた。「白川博、拾うの博だよ」

木村翼は頭を深く下げた。

無表情で辞書を取り出した。

「パラパラ」とページをめくり始めた。

ゴミ拾い?

空沢康利はもう何も聞けなくなり、黙って携帯を取り出して「白川博」を検索した。なるほど、だから白川華怜の名前で検索できなかったわけだ。