045格闘場の新神、お箏の先生！（2更）

田中湊はコップを握っていた。

たった一晩で、陽城市は一変してしまった。

「まだご存知ないようですね」彼は中村修を見つめながら言った。「中田家が昨日トラブルを起こして、封鎖されました。陽城市には江渡から一団の人々が夜のうちに入ってきました。私が調べられたのは、これが白川華怜と田中さんに関係しているということだけです」

田中湊は中田家の人々に会うことすらできず、関係者に尋ねても、いつも「機密事項です」という答えしか返ってこなかった。

幸い、日頃から関係を築いていたおかげで、ようやく誰かが関係者の一人が白川華怜だと漏らしてくれた。

そこで中村家に助けを求めることにしたのだ。

彼は白川華怜が安藤智秋の姪だということを覚えていた。

中村優香は靴紐を結ぼうと屈んでいた手を、突然止めた。

「彼女が田中さんと関係があるって？」中村修も大いに驚いた様子だった。

安藤家なんて、これまで眼中になかったのに、どうして田中さんと関係があるというのだろう？

中村優香は立ち上がり、カバンをしっかりと握りしめながら、突然口を開いた。「たぶん、学校の記念式典で白衣行を弾いたからじゃないかな」

中村修と田中湊は彼女の方を見た。

「白川華怜はお箏を習っていたの」中村優香は目を伏せ、心の中は混乱していた。「あの日の記念式典で、わざと白衣行を弾いたわ。田中家の人が白衣行を好きだってみんな知ってるでしょ。きっとそれが理由だと思う」

そう言うと、彼女はカバンを持って学校へ向かった。

後ろで、中村修も我に返った。そうだ、安藤家のような連中が、どうして田中さんと関係があるはずがない。

もし『白衣行』が理由なら、それは納得がいく。

ということは……

中村修は突然気づいた。白川華怜は何も問題がないどころか……

問題どころか、田中さんの賞賛を得たということか？

中村修は突然携帯を取り出し、直接安藤智秋に電話をかけたが、つながらなかった。

彼はぼんやりとソファに座り、初めて後悔の念を感じた。つまり、昨日安藤家は彼に助けを求めるつもりなど全くなかったということか？

そうなると昨日の夜の彼の行動は……

安藤智秋はきっと気づいているはずだ。