050白井奈月、母と娘の対面

機械を操作していたスタッフも驚き、お互いに顔を見合わせた。

中村優香は人々を置き去りにして教室を出て行った。

中村家の唯一の後継者である彼女は、中村修の前でも非常にわがままで、少しでも気に入らないことがあれば機嫌を損ねる。ここでも当然、その態度は変わらなかった。

「中村くん?」校長は一瞬の隙に中村優香が出て行ってしまったことに気付いた。

彼は二度呼びかけたが、中村優香を引き止めることはできなかった。

むしろ彼女の足取りは早くなっていった。

「校長先生、どうしましょうか?」カメラマンは少し気まずそうに機械の蓋を閉じながら、校長を見た。

田中駆は席から立ち上がり、山田を一瞥して冷たく言った。「分からないなら余計なことを言うな。」

そして校長に頷いて、「彼女を見てきます。」