050白井奈月、母と娘の対面

機械を操作していたスタッフも驚き、お互いに顔を見合わせた。

中村優香は人々を置き去りにして教室を出て行った。

中村家の唯一の後継者である彼女は、中村修の前でも非常にわがままで、少しでも気に入らないことがあれば機嫌を損ねる。ここでも当然、その態度は変わらなかった。

「中村くん?」校長は一瞬の隙に中村優香が出て行ってしまったことに気付いた。

彼は二度呼びかけたが、中村優香を引き止めることはできなかった。

むしろ彼女の足取りは早くなっていった。

「校長先生、どうしましょうか?」カメラマンは少し気まずそうに機械の蓋を閉じながら、校長を見た。

田中駆は席から立ち上がり、山田を一瞥して冷たく言った。「分からないなら余計なことを言うな。」

そして校長に頷いて、「彼女を見てきます。」

田中駆が去った後、校長は山田をどんな目で見ていいか分からない様子で、「君の口は、彼女を怒らせないわけにはいかないのか?」

「事実を言っただけじゃないですか?」山田は鼻をこすった。

8組と普通クラスの対立は一朝一夕の問題ではなかった。

剣の件以来、彼は最近8組の学級委員長とバスケをしていなかった。

「もういい、この件は私が処理する。君たち二人はカメラマンに協力してくれ。」校長は最後に山田を見て、頭を抱えながらも諦めたように言った。「大丈夫だ、私が彼女と話をしてくる。」

8組と普通クラスの対立は校長も知っていた。

中田先生に8組を任せたのも、8組と他のクラスの対立を解消するためだったが、効果はあまり大きくなかった。

今回の陽城市の文化観光PRは非常に重要で、誰が欠けても中村優香だけは欠かせなかった。

一瞬のうちに三人が出て行き、山田は白川華怜を見た。

「お二人、」カメラマンは急いで口を開き、気まずい雰囲気を打ち破った。「下に行って、学校の千年石碑を撮影しましょうか。」

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一方。

中村家の車は校門のそばに停まっていた。中村優香は田中駆と校長の言葉を無視して、直接車に乗り込んだ。「先生の家へ。」

中村優香の先生は加藤先生で、運転手もそれを知っていた。

加藤先生の家は陽城市の城楼の近くにあり、少し外れた場所だが一軒家だった。

彼女が到着したとき、加藤先生は文化観光局の人々と面会していた。