047藤野院長の弟子入り依頼も気にしない(2更)

白川華怜は相手を見つめ、その裸の上半身に目が触れた時。

思わず顔を上げ、空を見上げた。

「大野くん、早く服を着なさい」大野おばあさんは彼女の気持ちを誤解して、相手を叱りつけてから、優しく白川華怜を慰めた。「怖がらないで、大野くんは刺青が怖そうに見えるだけで、とても実直な子なのよ」

大野孝次は白川華怜を見つめながら、黙って脇に掛けてあった上着を手に取って着た。

白川華怜も思い出した。この人は以前路地で助けた人だと。

平然と大野おばあさんを居間まで支えた。

入るなり、居間に置かれた三つの位牌が目に入った。

真ん中の位牌の前には一輪の乾燥ひまわりが飾られていた。

きちんと並べられた三つの位牌を見つめ、しばらく黙った後で視線を外した。

「同級生さん」大野孝次はきちんと服を着て、白川華怜と大野おばあさんにお茶を注ぎ、それから微笑んで「どうぞ」