047藤野院長の弟子入り依頼も気にしない(2更)_2

傍にいた田中駆は白川華怜を見つめながら、突然口を開いた。「白川さんは手抜きをしたわけではありません。最初からお箏を弾くつもりはなかったのです」

中村優香は笑みを凍らせ、信じられない様子で田中駆を見上げた。

田中駆は彼女を見ずに続けた。「白川さんの出し物は元々剣舞でした。田中美依さんは私に長剣を取りに行かせましたが、優香さんは私にそのことを伝えませんでした。長剣が見当たらなくなったため、白川さんはお箏を弾くことになったのです」

「あなた...」中村優香は唇を噛んだ。

いつも自分の味方だった田中駆が、なぜ突然寝返ったのか分からなかった。

田中湊は、この件に田中美依が関わっていたとは思いもよらなかった。彼の表情も冷たくなった。

「優香!」中村修は中村優香を大声で叱責した。彼女を見つめながら言った。「明日、私と一緒に白川さんに謝りに行きなさい」