木村浩は木村翼の蹴り飛ばした布団を掛け直し、手を伸ばして電気を消した。
そっと携帯を手に取り、部屋を出た。
ドアが閉まった。
木村浩は携帯をポケットに戻し、書斎で木村家から送られてきた書類を少し処理してから自室に戻った。家の中は相変わらず広々として静かだった。
何気なくリモコンを手に取り、カーテンを閉めようとした時、ポケットの中の携帯から眠そうにあくびをする声が聞こえてきた——
「あなたの方が私より粘り強いわね」
彼は一瞬驚いて画面を見た。
画面の向こうの白川華怜は眠そうに笑って言った:「私、先に寝るわ」
ビデオ通話が切れた。
木村浩はようやく気づいた。
さっきずっと誰かがいたんだ。
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翌日。
白川華怜はいつもより少し遅く起きた。
初めて起こされなかった安藤宗次は少し違和感を覚えた。