050白井奈月、母と娘の対面_3

島田凜は頷き、漆黒の瞳に波風はなかった。

お年寄りはため息をつき、手に持っていた饅頭を島田凜に差し出した。「今日はあまり飲んでないみたいだけど…はぁ…あなたが大きくなればいいのに」

島田凜は首を振り、饅頭を受け取らなかった。

言葉も発さなかった。

ただ家の鍵を取り出し、静かにドアを開けようとした。

その言葉にはもう麻痺していた。いつまで大きくなればいいのだろう?

五歳の時から、大人になることを待ち望んでいた。

今はもう十八歳。大人と言えるのだろうか?

彼女にはわからなかった。

ドアを開けると、テレビの大きな音が聞こえ、狭い居間は煙が立ち込めていた。

何日も風呂に入っていない中年の男が、ソファに座っていた。テーブルの上にはフライドチキンと空き缶が数本、古びたソファの横には鶏の骨が散らばっていた。

きっと賭け事で勝ったのだろう。

男は島田凜を一瞥すると、すぐにふらつきながら立ち上がった。長めの髪の毛は固まっており、もごもごと小銭を取り出しながら言った。「リンちゃん、ごめんな。この前パパ、酔っ払っちゃって…お、お前、ご飯食べたか…」

島田凜は無視した。

自分の部屋の鍵が壊されているのを見つけるまでは。

彼女は一瞬固まり、それから急いで部屋に駆け込んでドアを開けた。部屋は荒らされていた。

「バン!」

彼女は力いっぱいドアを閉め、内側から鍵をかけた。

ベッドの下から鍵のかかった鉄の箱を取り出した。

鍵は無事だった。

彼女は安堵のため息をつき、床に崩れ落ちて、激しく息を切らした。

しばらくしてから、やっとカバンの隠しポケットから今日もらった給料を取り出し、きちんと鉄の箱に入れた。

それから、ゆっくりと部屋を片付け始め、艶やかなユリの花を取り出してプラスチックの瓶に入れ、窓際に飾った。

島田凜はベッドに座り、静かにそのユリの花を見つめた。

やや開いた花びらは雪のように純白で優雅で、部屋で唯一の明るい色だった。

しばらく眺めた後、ゆっくりとカバンから緑色の軟膏を取り出し、腕や脚、腹部の傷に塗り始めた。

茶色い軟膏が青あざの上でゆっくりと溶けていく。

かすかに痛みが走る。

**

その頃。

一台の車がゆっくりと陽城市に入っていった。

安藤蘭は無表情で変わらない街並みを眺め、興味を失っていた。