046本当にお箏の先生は必要ありません、大野孝次!

この動画は安藤宗次が安藤智秋に送ったものだ。

昨夜、家族で久しぶりに一緒に食事をしながら話し合った時、安藤秀秋は白川華怜が白川家でお箏を1年間習っていたことを知っていた。

今、陽城市に戻ってきたからには、子供にお箏を習わせないわけにはいかない。

白川華怜は横で単語を覚えながら、一心二用で話を聞いていたが、まさか翌日にはもう話が進むとは思わなかった。

安藤智秋がすぐに手配してくれた。

安藤宗次は陽城市最高の先生を見つけたと聞き、その動画を安藤智秋に送ったのだ。

「安藤さん」岩山先生は安藤秀秋をじっと見つめて言った。「お箏は感情と魂の衝突です。お箏の存在は自己顕示や人目を引くためのものではありません。最も清らかで純粋なものです。功利的な考えでお箏を学ぼうとする人は、決して殿堂には辿り着けません。申し訳ありませんが、聴く気はありません。」

彼は聴く意思がなかった。

呆然とする中村優香を避けて立ち去ろうとした。

「岩山先生、あなたの考えは尊重しますが、賛同はできません」白川華怜はゆっくりと振り向いて言った。

彼女は自分が十数年もお箏を習っていたことも説明せず、なぜお箏の流派について知らないのかも説明しなかった。ただ彼と視線を合わせて言った。「お箏の数千年の発展の歴史において、継承と発展が最も重要です。しかし、世界は多様性に満ちています。それこそが文明と伝承の魅力です。お箏を愛しながら、他のものも愛することができます。人は生きていくために食べなければなりません。あなたは全てを捨てて、本当の意味で彼らを理解しようとしたことがありますか?なぜ彼らを否定するのですか?」

岩山先生は足を止め、淡々と白川華怜を見つめた。「成功する芸術家は自分を周縁化すべきです。芸術を崇拝することこそが初心であり、人生は修行の場です。はっきり言いましょう。あなたは決して成功することはできません。」

今日は期待を持って来たのに、失望して帰ることになった。

藤野師範のように、才能があり、心から好きで、真剣にお箏を学ぶ生徒に出会えることは望んでいなかった。

ただ少しでも才能があり、努力する意志のある生徒であればよかったのだ。

功利的な考えに染まり、初心を失い、お箏にほとんど触れたことのない生徒は望んでいなかった。