045格闘場の新神、お箏の先生!(2更)_3

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陽城市にはお箏の先生が星の数ほどいる。

しかし、その中で最も有名なのは、たった一人だけ。

岩山先生だ。

安藤智秋から中村綾香に話したことを、綾香はすべて心に留めていた。特にこの件は白川華怜に関することだった。

「私が悪かったわ」中村綾香は最初の不愉快な出会いを思い出し、頭が痛くなった。あの時、秘書長の描写で、白川華怜を水島亜美と同じように思い込んでしまい、良い顔をしなかった。「このお箏の先生には私が会いに行くわ」

しかし中村綾香も不思議に思った。

お箏はピアノほど高価ではないとはいえ、お箏を習うには、それなりの家庭環境と芸術的素養が必要だ。

彼女は、白川華怜がお箏を弾けるとは思ってもみなかった。

安藤智秋は安藤蘭と白川華怜のことをほとんど知らなかった。「父が言うには、彼女はお箏が大好きだったそうだ」

演奏については、安藤宗次以外誰も見たことがなかった。

安藤宗次もそう言っていた。

「お昼に華怜を平安苑に連れてきて」中村綾香は早とちりして、サングラスをかけ、車のキーを手に取り岩山先生を探しに行った。「私が岩山先生とそこで待っているから」

安藤智秋は一言も言えなかった。

中村綾香はアクセルを踏んで去っていった。

彼は仕方なく携帯を取り出し、白川華怜にLINEを送った。

お昼時、安藤智秋は校門の前で白川華怜を待っていた。

「お父さん」中村優香は遠くから安藤智秋を見つけた。

中村優香を見て、安藤智秋は落ち着きを取り戻し、しばらく考えた後、この件は中村優香に隠せないと悟り、説明した。「華怜をお箏の先生に会わせに行くんだ」

中村優香は爪を掌に食い込ませ、少し顔を上げ、無関心を装った。

白川華怜はすぐに到着した。

中村優香は安藤智秋が白川華怜を連れて去るのを見つめ、瞳が冷たく光った。

「お箏の先生?」白川華怜は指先で単語帳を押さえながら、落ち着いて安藤智秋の後ろについて歩きながら、少し首を傾げた。昨日の安藤秀秋と安藤宗次の冗談だと思っていた。

まさか本当だったとは?

白川華怜は口を開きかけ、必要ないと言おうとしたが、安藤智秋の興奮した様子を見て、鼻を擦りながら、また付いていった。

「岩山先生は陽城市最高のお箏の先生だが、めったに弟子を取らないんだ...」安藤智秋は歩きながら、彼女に岩山先生のことを説明した。