木村浩が白川華怜たちの気配を感じたのか、少し顔を上げた。
木村翼がうるさく感じたのか、彼は寒山のように冷たい表情で、薄い唇を固く結び、冷たい瞳で宮山小町と山田を一瞥した。
山田は手に持っていた飲み物を白川華怜に渡した。
視線を感じたのか、顔を上げると、彼の足は止まった。
実は、山田は隣の席の人たちの話を聞くのが好きではなかった。ほとんどの場合理解できないからで、そんな時の山田は、宮山小町が言うところのバカみたいだと感じていた。
しかし——
前にいるあの人は。
言葉を交わす必要もなく、ただ一目見るだけで。
そう、今のように、たった一目、たった一瞬の視線だけで、山田は自分がバカみたいに感じた。
「あー」山田は宮山小町と白川華怜を見て、無表情で言った。「バスケに行ってくる」