木村浩が白川華怜たちの気配を感じたのか、少し顔を上げた。
木村翼がうるさく感じたのか、彼は寒山のように冷たい表情で、薄い唇を固く結び、冷たい瞳で宮山小町と山田を一瞥した。
山田は手に持っていた飲み物を白川華怜に渡した。
視線を感じたのか、顔を上げると、彼の足は止まった。
実は、山田は隣の席の人たちの話を聞くのが好きではなかった。ほとんどの場合理解できないからで、そんな時の山田は、宮山小町が言うところのバカみたいだと感じていた。
しかし——
前にいるあの人は。
言葉を交わす必要もなく、ただ一目見るだけで。
そう、今のように、たった一目、たった一瞬の視線だけで、山田は自分がバカみたいに感じた。
「あー」山田は宮山小町と白川華怜を見て、無表情で言った。「バスケに行ってくる」
彼は素早く戦場から逃げ出した。
宮山小町は渋々木村翼に挨拶をした。「とりちゃん」
この呼び方を聞いて、木村浩は眉を上げ、木村翼を見下ろしてから、スマートフォンをポケットに戻し、冷笑した。
木村翼は頭を膝に埋めたまま、憂鬱そうに黙っていた。
白川華怜は片手に山田から献上された飲み物を持ち、もう片手でポケットから折りたたまれた紙を取り出して木村翼に渡した。
木村翼はようやくゆっくりと顔を上げ、手を伸ばして受け取った。
木村翼はゆっくりとその紙を広げた。
白い紙には猫ではなく。
優雅に細い足を上げた鶴が描かれており、翼を半分広げ、玉京に飛ぶかのようだった。
木村翼は瞬きをして、目には感嘆の色が浮かんだ。
隣でほとんど動けないでいた宮山小町も、声を上げた。「すごく似てるね?」
白川華怜は紙を木村翼に渡しながら、突然子供から物を奪う人がいることを思い出し、顔を上げて木村浩に何か言おうとした。
ポケットの中で携帯が二回振動した。
白川華怜が見ると、知らない番号だった。
ちらっと見てから、だるそうに緑の通話ボタンを押して出た。「はい」
電話の向こうは彼女のこんな反応を予想していなかったのか、黙っていて、無線を通じてかすかな呼吸音だけが聞こえた。
白川華怜も黙っていた。
両者は無言の対峙をしているようだった。
しばらくして、電話の向こうからようやく女性の声が聞こえた。「明日、陽城市に着くわ」
白川華怜は今日の気分もあまり良くなかった。