053江渡入りを拒み、誰だって梁体字くらい書けるでしょ(2)_3

遠山くん?田中くん?

渡辺泉は頷いた。この遠山くんや田中くんが誰なのかは気にしていなかった。ただ雰囲気が気まずくならなければそれでよかった。

「華怜は今回の月例テストで450点だった」と安藤宗次はゆっくりと口を開いた。「文系から理系に転向して、先生は彼女にセンスがあると言っていた。この件については君は関与しなくていい」

450点?

渡辺泉は頷いたが、何も言わなかった。彼の周りには天才が多すぎて、450点を心にもない褒め言葉で評価するのは偽りすぎると感じた。

でも、お年寄りがこんなに喜んでいるのだから。

何も言わないでおこう。

「料理がまだ来ないか見てきます」渡辺泉は笑顔で立ち上がり、個室を父娘に任せた。

彼が出て行った後。

安藤蘭はバッグを握りしめ、かすれた声で「お父さん」と呼んだ。