相手は返信しなかった。
午後九時二十分。
加藤正則はついに我慢できなくなり、携帯を取り出して白川華怜に電話をかけた。
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図書館。
木村浩が到着した時、木村翼が一人で席に座って、むっつりと本をめくっていた。
彼はゆっくりと手を伸ばし、木村翼の机を軽くノックした。
木村翼は顔を上げ、無表情に近い表情で言った:「トイレ。」
木村浩は手を引っ込め、人を見る時はいつも何気ない冷たさがあった。
白川華怜はトイレに行く時、携帯を机の上に置いていった。その携帯が光った。
木村浩は一目で加藤先生からの電話だと分かった。陽城書道協会の件は彼が手配したものだ。加藤正則が誰なのか、木村浩は知っていた。
白川華怜は今日参加するはずだった書道協会に行かなかった……
木村浩は電話をちらりと見て、すぐに切った。