067木村坊ちゃまが怒る:陽城市はいつから任家のものになったのか?(2)

加藤正則が去った時、谷部部長は内心で何となく不安を感じていた。

局長の言葉が終わるや否や、彼の目の前が真っ暗になった。

背中から冷や汗が次々と噴き出した。

「申請者?」谷部部長は数歩離れた事務局長と中村優香の方を向いて、「中村さん、白川華怜はただのあなたの親戚だと言っていたはずですが、どうして申請者になったのですか?」

谷部部長の顔色は鍋底のように真っ黒だった。

せっかく得たこのチャンスが、中村優香の一言で、最も重要な人物を怒らせてしまった。

冷ややかに傍観していた中村修は唇を動かし、不思議に思った:「彼女が……申請者?」

白川華怜は彼の目には書道協会とは何の関係もない人物だったのに、どうして突然申請者になったのか?

安藤家の人々はなぜ一言も漏らさなかったのか?

「中村さん」局長も表情を冷やし、事情を理解したようだった:「今日の開始式は延期します。白川さんがいつ来るか待ちましょう」

彼は中村家の人々とこれ以上話さなかった。

加藤正則の後を追って去っていった。

「中村さん!今回は本当に私を台無しにしましたね!」谷部部長は中村優香を一瞥した。

盛大な開始式はこうして延期となり、中村修は額を押さえながら、うつむく中村優香を一瞥し、ため息をつきながら事務局長に言った:「この件について調べてください」

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昼食前、白川華怜はようやく加藤正則からの電話に出た。

図書館一階のカフェで会うことになった。

加藤正則は長年こういう場所に来ていなかったが、カフェに入るとすぐに窓際に座る白川華怜を見つけた。

彼女の隣には見知らぬ人が座っており、顔は見えなかったが、その後ろ姿は何故か人の心を震わせるものだった。

「白川くん」加藤正則は白川華怜の向かいに座り、彼女の隣の人を見る勇気がなく、彼女だけに謝罪した、「今日のことは私も今知ったところです。私にも責任があります」

彼は局長とともにこの件について既に詳しく調査していた。

木村浩は白川華怜の隣に座り、量子力学の本を読んでいたが、これを聞いて細長い鳳眼を少し上げた。

「パラパラ」

白い長い指が一ページをめくった。

何も言わなかったのに、七十歳近い加藤正則は何故か圧迫感を感じた。「中村お爺さんも直接謝罪したいと言っています」