附属中学校のあの連中は、二日間ろくに眠れず、全ての問題を審査し直したそうだ。
人間らしくしろよ。
ありがとう。
木村浩は返信を終えると携帯をしまい、白川華怜を見て「隣を見に行く?」と言った。
隣は既に閉鎖された形意道場だった。
白川華怜の思惑通りだった。
二人が隣の玄関に着いた時、浅黒い肌の中年男性が、スーツ姿の二人を追い出していた。「出て行け、売るつもりはない!」
11月に近づき、気温が下がってきていた。
ほとんどの人が上着を着ていた。
中年男性は相変わらずTシャツ姿で、腕を上げた時に筋肉の線がくっきりと見え、鋭い眼光から、かなりの実力者であることが一目で分かった。
彼は白川華怜と木村浩の二人を一瞥し、「お前たちも物件を買いに来たのか?売らないぞ」
「違います、金子館長」白川華怜は微笑んで言った。「私たち二人は、以前の道場がどんな様子だったのか見てみたいだけです」
今日は土曜日で、白川華怜は薄茶色のプリーツスカートに、同系色のゆったりとしたアウターを着ていた。リラックスした雰囲気で、袖口と襟元だけに精緻な白い祥雲模様が刺繍されていた。
長い髪は相変わらずゆるく後ろで束ねていた。
彼女の容姿は常に人を欺くような、礼儀正しく謙虚で、年配者に好かれる性質があった。
金子館長も例外ではなかった。
「もう館長じゃないよ」金子館長は門を開け、二人を中に入れた。「好きに見てくれ」
形意道場は書道協会よりもずっと広かった。
道場に入るとすぐに巨大な練習場があった。
練習場の右側には八列の木の杭が立っていて、各列十本、間隔は一メートルで、その後ろには三つの石のテーブルがあり、その傍らには石の椅子が積み重ねられていた。
広い空き地が残されていた。
中央には幅1メートルの青石の道があり、石の隙間には草が生い茂っていた。
左側は石レンガで囲まれた練習場で、壁際に二列の武器ラックがあった。かつては武器が置かれていたはずだが、今は空っぽだった。
青石の道を進んでいくと門廊が見え、そこを通り抜けると両側に多くの部屋があった。
更衣室、瞑想室、サンドバッグルームなど……
この長い廊下を抜けると、奥に宿泊施設があり、井戸があって、金子館長は隅に住んでいた。今は水を汲んでいて、両側には巨大な寮があった。
かつての道場の繁栄ぶりが窺えた。