089 遠山律夫：こんな事件で私を？（2）

その一言で、渡辺泉の心臓は喉元まで飛び出しそうになった。

慌てて言った——

「華怜、草刈新堂があなたの同級生と関係があるなんて知らなかったんだ」緊張すればするほど、渡辺泉の頭は冴えていき、論理的に説明した。「ランス先生の連絡先は私が持っているけど、草刈家には渡していない」

「昨夜、私は草刈家との協力関係を終了させた」彼は整然と話を続けた。「昨夜9時過ぎ、草刈新堂は救命措置の甲斐なく死亡した」

この件については白川華怜は知っていた。田中局長が既に報告していたからだ。

しかし白鳥春姫と順子さんは知らなかった。二人の声は裏返るほどだった。「えっ、何ですって？！」

故意の傷害と故意の殺人は、まったく別物だ。

「何を慌てているの」白川華怜はタバコの吸い殻をゴミ箱に捨てた。彼女は二人を見つめ、眉目に金色の光が差し込んでいるかのようだった。淡々とした口調で言った。「死んで当然よ」

尋ねなくても分かっていた。山田くんは彼の命を狙っていたのだと。

白川華怜の声は平淡だったが、渡辺泉は聞いていて胸が締め付けられた。

彼は即座に決断し、急いで口を開いた。「華怜、今何か手伝えることがあれば直接言ってくれ。弁護士はもう見つけたのか？紅丸法律事務所の弁護士なら何人か知っているんだが」

白川華怜は何も言わず、漆黒の瞳は濃墨で染めたかのように、何の感情も読み取れなかった。

「紅丸法律事務所の弁護士をご存知なんですか？」白鳥春姫は重要なポイントを聞き逃さず、思わず立ち上がった。

素人にはこの言葉は馴染みがないが、白鳥春姫と順子さんは最近多くの弁護士に会って、国内にこのようなトップクラスの弁護士集団があることを知った。

そこに所属する弁護士は一人一人が業界のトップクラスだ。

しかし彼らに依頼するには予約が必要なだけでなく、強力なコネクションも必要だった。

これが法曹界の現状であり、だからこそ渡辺泉が紅丸法律事務所の人を知っていると聞いて、白鳥春姫はこれほど興奮したのだ。

白川華怜は白鳥春姫たちを見つめ、渡辺泉の話を遮ることはなかった。

渡辺泉はようやく安堵の息をつき、スマートフォンを取り出して、特に白鳥春姫とWeChatを交換し、二人の弁護士を紹介した。そして両弁護士に連絡を入れ、これは自分の友人だと明言した。

渡辺泉の人脈の広さは疑う余地がなかった。