「それで、草刈さん——」
遠山貴雲は冷笑した。「まさか、この動画は警察が削除したとでも言うつもりですか?」
「ざわ——」
これを草刈会長はどう説明すればいいのか?
警察が削除したと誹謗中傷するのか?
法廷でそんなことを言う勇気があるのか?
法廷は再び大きな騒動に包まれた。
草刈会長は奇妙な窮地に陥った。彼らの側の全員の論理的思考が遠山貴雲によってしっかりと掌握されていた。
鈴村景塚も含めて。
遠山貴雲の論理にはどんな隙も見つけられなかった。
「バン——」
裁判官は小槌を打ち下ろした。「静粛に、静粛に」
法廷内の話し声が徐々に収まっていった。
鉄格子の向こうに座っていた山田も我に返った。事件発生日から今まで、彼はずっと緊張状態にあった。
彼は人生の前半をただ漫然と過ごし、最大の夢はエキストラになることだけだった。