088 威厳ある華怜_2

声は気だるげで不自然な冷たさを帯びており、芸能界でもこんな声は珍しいものだった。しかも、聞き取れない専門用語ばかり口にしていた——

「反衝突核」とか「エネルギースペクトル測定」とか「年変調効果」とか……

順子さんには一言も理解できなかった。

「どこへ行く?」白川華怜が車に乗り込むのを見て、木村浩はBluetoothで話していた相手に一言告げ、Bluetoothを切って彼女に尋ねた。

白川華怜も表情は良くなかった。「花屋へ」

まずは山田のお母さんたちを送り届けなければ。

「まだ山田さんに会えていないの?」白川華怜は体を半分後ろに向け、後部座席の人たちに尋ねた。

白鳥春姫はようやく我に返り、光を失ったような目で窓の外を見つめながら答えた。「裁判が始まるまでは会えません。弁護士を通じてでないと……」