088 威厳ある華怜_2

声は気だるげで不自然な冷たさを帯びており、芸能界でもこんな声は珍しいものだった。しかも、聞き取れない専門用語ばかり口にしていた——

「反衝突核」とか「エネルギースペクトル測定」とか「年変調効果」とか……

順子さんには一言も理解できなかった。

「どこへ行く?」白川華怜が車に乗り込むのを見て、木村浩はBluetoothで話していた相手に一言告げ、Bluetoothを切って彼女に尋ねた。

白川華怜も表情は良くなかった。「花屋へ」

まずは山田のお母さんたちを送り届けなければ。

「まだ山田さんに会えていないの?」白川華怜は体を半分後ろに向け、後部座席の人たちに尋ねた。

白鳥春姫はようやく我に返り、光を失ったような目で窓の外を見つめながら答えた。「裁判が始まるまでは会えません。弁護士を通じてでないと……」

彼女と順子さんは調べたのだ。山田は刑事拘留中で、家族も面会できないことを。

だから誰も山田が今どんな状況なのか分からない。

彼女と順子さんは必死に弁護士を探している。

白川華怜は頷いて理解を示し、携帯を取り出して番号を押した。

田中局長のところ。

彼は今日の仕事を終え、シャワーを浴びようと服を手に取ったところで、特別な着信音が鳴り響いた。急いで服を置き、百メートル走のような勢いで電話に出た。

この着信音は白川華怜か木村浩からのものに違いない。

「白川さん!」彼は三回目のコールの前に神速で電話に出た。

白川華怜は片手に携帯を持ち、もう片方の手を半開きの車窓に置いていた。冷たい風が彼女の意識を清めるように吹き抜けていく中、簡潔に状況を説明した。「彼の中での状況を知りたいんです」

「山田さんですか?」田中局長はその名前を聞いたことがなかった。

しかし、警察署で確認することはできる。シャワーも諦めて、脱いだばかりの帽子を再び被った。「慌てないで、警察署で確認してみましょう」

「草刈新堂って誰だ?」田中局長はその人物を知らなかった。

白川華怜は少し考えて、「慈善家?タイムエンターテインメントの株主でもあるみたいです」

彼女も噂で聞いた程度だった。

「私に聞かないで」木村浩は彼女が自分を見た時に眉を上げて言った。「草刈峰也なら少し知ってるけど」

後部座席で。

順子さんは白鳥春姫を見て、また白川華怜たちを見て、非常に困惑していた。