山田のお母さんは離れたくなかった。
でも白川華怜の言う通り、息子を信じるべきだった。
涙を拭った。
白鳥春姫の手を握り、再び顔を上げた時、目は決意に満ちていた。「春姫ちゃん、行きましょう」
「ピン——」
エレベーターがこの階に止まった。
扉がゆっくりと開いた。
山田のお母さんは白鳥春姫を連れて先に入り、白川華怜は最後に続いた。エレベーターの入り口で振り返り、ICUの表示を見つめた——
SICU。
外科集中治療室。
前回水島亜美が入院した同じ集中治療室だった。
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草刈会長はエレベーターの扉が閉まるのを見て、横を向いた。「裁判所と鈴村景塚の方はどうだ?」
「鈴村弁護士はもう陽城市に向かう準備をしています。裁判所は審理中で、召喚状は明日には彼らの手元に届くはずです」秘書は全て手配済みだった。「あの山田も賢いですね。すぐに自首しましたが、この種の故意傷害事件は最低でも七年以上の懲役刑です」