二人は学校の近くで適当な食堂を見つけた。
食事の時間はとうに過ぎており、店内には客がほとんどいなかった。
二人が入店すると、店主は顔を上げて笑顔を見せ、「何にしますか」と聞こうとしたが、ある人物の冷たい視線で遮られ、店主は紙を取り出して、二人が座るテーブルと椅子を丁寧に拭き始めた。
そしてメニューを差し出した。
木村浩は木村翼とは違い、どこで何を食べるかなどどうでもよかった。実験室で連続作業をしているときは、パンだけで過ごすこともあったのだから。
メニューを見下ろし、適当に三品を選んだ。
彼には好き嫌いも特別な好みもなく、選んだのは全て白川華怜の好みの味付けだった。木村浩にとって、飲食や娯楽に時間を費やすのは無駄だと思っていたが、他人の好みを覚えるのは今回が初めてだった。
これは不思議な体験だった。
白川華怜は携帯を見ていた。画面には東区武術クラブの責任者からのメッセージが表示されていた——
【入会されないのですか?】
白川博:【時間がないので(微笑)】
携帯の向こう側。
東区武術クラブの責任者はこの含蓄のある微笑絵文字を見て——
間違いない、これは必ずや徳高き長老に違いない!
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食事を終え、白川華怜は学校に戻った。
昼休みはとうに終わっており、休み時間中、大勢が何かを賑やかに議論していた。
山田が去ってから、十五組がこんなに賑やかになったのは初めてだった。
「華怜さん、聞いた?」白川華怜が来ると、他の生徒たちがこのワクワクするニュースを伝えた。「私たちの陽城市にホテルができるんだって、知ってた?」
白川華怜は少し戸惑った様子だった。
椅子を引いて座る。
宮山小町が振り返り、同じく興奮した様子で、「もう立ち退きが始まってるみたいよ。今度こそ本当に陽城市の開発が始まるみたいね」
上層部が陽城市の開発を決定したことについて、みんな興奮していた。
すべてが前に進んでいる。
「それはいいことね」白川華怜は真面目な表情で言った。
渡辺泉から今週末に記者会見があると聞いた気がする。
放課後。
白川華怜、宮山小町、畑野景明、島田凜、森園雄...そして何故か十五組に混ざっている他クラスの空沢康利と一緒に門の外へ向かう大所帯。
多くの生徒の視線を集めていた。