110本当にやってしまった_2

彼女は本を閉じ、片手でペンのキャップをはめた。

「誰かがデータを間違えて入力したんだ」木村浩は冷たい表情で、彼女に愚痴をこぼすように言った。

そうでなければ、もっと早く帰れたのに。

白川華怜は本をカバンに戻し、顔を上げて、少し考えてから「その人を許してあげたら?」と言った。

「ああ」木村浩は渋々と答えた。

木村浩が戻ってきて、お手伝いさんがもう一度食事を運んできた。木村翼と明石真治、田中局長たちは先に食事を済ませており、木村浩は一人で食事をすることになった。

田中局長は木村浩を見て、ふと思いついたように「白川さん、お腹すいていませんか?」と聞いた。

「大丈夫です。さっきケーキを2切れ食べましたから」白川華怜は立ち上がり、「でも、そろそろ帰らないと。今日はおじいちゃんが私と一緒に食事をするって待ってるので」