112 MTR特製薬、華怜の恐ろしい人脈(2更)

安藤邸。

白川華怜は電話を切り、少し眉をひそめ、一分ほど考えてから、ランスを連れて行った。

「何?」ランスは木村翼と将棋を指していた。

白川華怜は表情を引き締め、あの日出会った上原賢太のことを思い出し、頭の中で何かが繋がりそうな気がしたが、まだ掴めなかった。

ランスは白川華怜のその表情を見て、余計なことは言わなかった。

安藤蘭は電話で詳しく説明しなかったので、白川華怜は直接病院へ向かった。

二十分後。

陽城総合病院の玄関前。

救急車が待機していた。

白川華怜とランスが病室に着いたとき、渡辺泉の秘書が医師と転院の手続きについて話し合っていた。

白川華怜を見て、秘書は振り返り、深刻な表情で「白川さん」と声をかけた。

江渡病院は神経毒だと聞いて、受け入れを承諾する病院がなかった。