「明日の朝八時半です。これが中村修の最短の時間です」
「ありがとう」安藤蘭は電話を切った。
傍らで、渡辺助手と中田先生は二人の会話を聞いて、沈んだ心はまだ落ち着かない。黒水通りで必要な毒素が見つかるかどうかはまた別の問題だった。
それに、黒水通りのような場所は……
完全武装して行かなければならない。
渡辺助手は安藤蘭を見て、少し考えてから言った。「中村お爺さんに、近くに知っている傭兵がいないか聞いてみてください」
傍らで、白川華怜は壁に寄りかかっていた。
彼女は淡々とした表情で、まつげを下げ、右手でスマートフォンを回しながら、前後の状況を整理していた。
約3分後、彼女は顔を上げ、中田先生を見て尋ねた。「そのマススペクトロメーターは持ち出せますか?」
マススペクトロメーターは木村浩が病院に研究用として寄贈したものだった。
普段はあまり使用されていない。
他の人が持ち出すことは不可能だ。
しかし、この人は白川華怜だ。それなら話は別だ。
「お使いになるのでしたら」中田先生は手元の検査結果を置いて、「院長に申請できます」
「ありがとう」白川華怜は頷き、スマートフォンを握りしめた。「今、何か用事がありますか?」
中田先生は首を振った。彼は今、残業中だった。渡辺泉の症状は初めて見るものだったので、彼は渡辺泉の身体データを観察し続けていた。これが彼の学術論文になるのだ。
「よし」白川華怜は下を向き、スマートフォンでゆっくりと番号を押した。「マススペクトロメーターを持って下に来てください。病院の入り口で待っています」
白川華怜はエレベーターの方へ歩き、指先でボタンを押し、振り返って渡辺助手を見た。「車で来ましたか?」
廊下の薄暗い照明の下で、彼女の顔は冷淡に見えた。
優雅さの中に、どこか自由奔放さが刻まれていた。
「はい」渡辺助手は反射的に答えた。
「ディン——」
エレベーターのドアが開いた。
白川華怜は中に入り、目を上げた。「じゃあ、一緒に来て」
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病院の入り口で、助手は駐車した車を持ってきた。
中田先生もちょうど数人の男性医師とマススペクトロメーターを病院の入り口まで運んできた。