112 MTR特製薬、華怜の恐ろしい人脈(2)_2

「明日の朝八時半です。これが中村修の最短の時間です」

「ありがとう」安藤蘭は電話を切った。

傍らで、渡辺助手と中田先生は二人の会話を聞いて、沈んだ心はまだ落ち着かない。黒水通りで必要な毒素が見つかるかどうかはまた別の問題だった。

それに、黒水通りのような場所は……

完全武装して行かなければならない。

渡辺助手は安藤蘭を見て、少し考えてから言った。「中村お爺さんに、近くに知っている傭兵がいないか聞いてみてください」

傍らで、白川華怜は壁に寄りかかっていた。

彼女は淡々とした表情で、まつげを下げ、右手でスマートフォンを回しながら、前後の状況を整理していた。

約3分後、彼女は顔を上げ、中田先生を見て尋ねた。「そのマススペクトロメーターは持ち出せますか?」

マススペクトロメーターは木村浩が病院に研究用として寄贈したものだった。

普段はあまり使用されていない。

他の人が持ち出すことは不可能だ。

しかし、この人は白川華怜だ。それなら話は別だ。

「お使いになるのでしたら」中田先生は手元の検査結果を置いて、「院長に申請できます」

「ありがとう」白川華怜は頷き、スマートフォンを握りしめた。「今、何か用事がありますか?」

中田先生は首を振った。彼は今、残業中だった。渡辺泉の症状は初めて見るものだったので、彼は渡辺泉の身体データを観察し続けていた。これが彼の学術論文になるのだ。

「よし」白川華怜は下を向き、スマートフォンでゆっくりと番号を押した。「マススペクトロメーターを持って下に来てください。病院の入り口で待っています」

白川華怜はエレベーターの方へ歩き、指先でボタンを押し、振り返って渡辺助手を見た。「車で来ましたか?」

廊下の薄暗い照明の下で、彼女の顔は冷淡に見えた。

優雅さの中に、どこか自由奔放さが刻まれていた。

「はい」渡辺助手は反射的に答えた。

「ディン——」

エレベーターのドアが開いた。

白川華怜は中に入り、目を上げた。「じゃあ、一緒に来て」

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病院の入り口で、助手は駐車した車を持ってきた。

中田先生もちょうど数人の男性医師とマススペクトロメーターを病院の入り口まで運んできた。