116傲慢な華怜(2/2)

学生は国の根幹であり、彼らはこのような時期に高校三年生の勉強を邪魔することはないだろう。

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午後六時。

形意道場。

廃れた古井戸の傍で、白川華怜と金子武人が書類を手にしており、金子武人は書類の内容を真剣に読んでいた。

「お二人とも、お水をどうぞ」金子奥様が白川華怜と宮山小町にお水を注ぎ、果物も出してきた。

白川華怜はすでに読み終えていた。制服の上着を開けたまま座り、水を受け取りながら金子奥様に微笑んで「ありがとうございます」と言った。

「おばさん、そうです、その動きのままで、もう一枚撮らせてください」宮山小町は金子武人の日常生活環境を撮影中で、カメラを金子奥様に向けていた。

「バン!」

裏庭の門が突然誰かに蹴り開けられた。

宮山小町は驚いて手が震え、カメラを落としそうになった。

書類を読んでいた金子武人が顔を上げ、来訪者たちを見て表情が変わり、反射的に白川華怜の方を見た。

宮山小町はこれらの人々を知らなかったが、群衆の中の田中美依は知っていた。思わず一歩後ずさりし、

白川華怜の後ろに立った。

陽城第一高校の生徒たちは、権力と地位があり、しかも学校の番長である田中美依をとても恐れていた。

「金子武人、どうしてずっと形意道場を売らないのか、やっと分かったよ」上原賢太は大勢を連れて入ってきた。笑顔を浮かべていたが、その本質は陰湿だった。その場にいる三人に目を走らせ。

最後に視線を白川華怜に向け、意味ありげに言った。「なるほど、後ろ盾がいたから、そんなに大胆になれたわけだ」

「上原さん」金子武人は立ち上がり、上原賢太を見つめながら冷たい声で言った。「すでに申し上げた通り、先祖から受け継いだ形意道場は売りません。どうかお引き取りください」

上原賢太は風撃館道場の黒い練習着を着ていた。

後ろにいる全員が同じ服装だった。

宮山小町は田中美依に目を向けながら、小声で白川華怜に言った。「学神の言う通りだった。彼女は本当にムエタイをやってるんだ。さすが田中家の人間...」

金子奥様は眉をひそめた。彼女は上原賢太を知っており、風撃館道場の背後に誰かがいることも知っていた。

しかし誰なのかは分からなかった。

ただ、何年も前に形意道場が突然閉鎖されたことが風撃館と関係があることだけは知っていた。