120 冷酷な伊藤坊ちゃま、田中局長ドン引き(2)_2

この態度。

田中局長は思わず木村浩のことを思い出した。彼は他国の人々には寛容だが、島国の人々に対する敵意は有名だった。文化交流が必要で、科学に国境はないと言われ、国内の多くの人々が陰で木村浩を中傷していたが、木村坊ちゃまは冷たく一言―

「何だ、私に彼らの貧困救済をさせようというのか?」

この一言は当時、国内の学術界を震撼させ、木村坊ちゃまの目には文盲と映る田中局長でさえ、その噂を耳にしていた。

白川華怜は黙り込んだ。

彼女は物憂げにカウンターを叩き、落ち着いて言った。「アイスミルクをください。」

原野部長は慌てて小声で言った。「白川さん、ここはバーですので、ミルクは…」

カウンターには既に新しいバーテンダーが立っており、原野部長の言葉が終わらないうちに、魔法のように常温のミルクを取り出し、氷を空のグラスに入れ、両手で数回華麗に回転させた。

ピンセットで慎重に氷をミルクに加え、クールなパフォーマンスを見せた後、恭しく「どうぞ」というジェスチャーをした。「お客様のミルクです。」

白川華怜:「……」

彼女はミルクを手に取り、やっと原野部長の方を向いた。「何か言いましたか。」

「いいえ、」原野部長は彼女の手のミルクを見つめ、慌てて視線を外した。「何でもありません、どうぞ。」

白川華怜はミルクを一口飲んでから、バッグから宿題を取り出した。

原野部長は田中局長と一緒に人を確認しに行った。

午後8時ちょうど。

豪華な個室のドアが開かれた。

三々五々集まって小声で話し合い、商談をしていた人々が全員立ち上がり、入口に目を向けた。

田中局長と原野部長も白川華怜の側に下がった。

「田中さん、」原野部長は田中局長の耳元で説明した。「今回の責任者です。ご存じですか?」

田中局長も目を離さずに見つめ、「いいえ。」

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黒服の一行が外から入ってきた。

先頭は髑髏のTシャツを着た金髪の若い男で、背は高くなく体格も良くないが、無表情な顔つきは人を威圧するものがあった。

その顔を見た田中局長は、グラスを持つ手が宙に止まった。

待てよ、この顔は……

まるで彼と皿洗いを争った伊藤そっくりじゃないか?

吉田瑞希の隣にいた長野さんは急いで笑顔で前に出て、「伊藤坊ちゃま。」

驚くほど流暢な中国語だった。

伊藤満は顔を上げ、長野に軽く頷いた。