120 冷酷な伊藤坊ちゃま、田中局長ドン引き(2)

彼女も一緒に行くという意味だ。

赤信号。

田中局長は車を止め、バックミラーを見ながら、「白川さん、明...」

「明石くん?」白川華怜は顔を上げ、誠実に田中局長に尋ねた。「私が明石くんの保護を必要としていると思っているの?」

田中局長は黙ってアクセルを踏んだ。

白川華怜を黒水路地バーまで連れて行った。

8時近く。

バーの照明は暗く、スポットライトが無差別に照らし、タバコとお酒の匂いが冷気と混ざって顔に当たる。フロアの中央にはいくつものステージがあり、男女が入り混じってダンスをしている。

田中局長はこの光景に慣れているが、ここが黒水路地のバーだけに緊張していた。

「白川さん、近くに...」

振り返ると、白川華怜はイヤホンを付けて単語を覚えており、その姿はのんびりとして、彼よりもリラックスしていた。