招待状?
渡辺泉は一瞬戸惑い、白川華怜がなぜ招待状を必要とするのか分からなかった。安藤家の招待状は全て配布済みだったのだ。「もちろん、今すぐ持って行きますよ」
「いいえ、お祖父さんのところに時間があるときで構いません」
「分かりました」渡辺泉は少し残念そうに言った。「夜にお祖父さんのところへ持って行きます」
二人は電話を切った。
携帯電話のこちら側、博源塾の入り口で。
木村浩はカシミアのコートを着て、道端の枯れ木に寄りかかっていた。背が高く、白い肌の顔には淡い表情を浮かべていた。
存在感があり、寒風に揺れる前髪さえも冷たい霜を帯びているようだった。
しかし、その淡い瞳は怨めしそうに白川華怜を見つめていた。
白川華怜は「...二枚って言ったでしょ」と言った。
「でも、最初は一枚だけって言ってたよね」木村浩は冷静に彼女の矛盾を指摘した。