白川華怜も友達からメッセージを受け取った。
友達:【[スクリーンショット]】
友達:【ははははは笑死、松木皆斗が一位取れなかったんだって】
友達:【今日はケーキ三個食べちゃおうかな!】
友達:【誰かが手を下したんだろうけど、とにかく気分爽快!】
白川華怜:【……】
友達:【?】
二人の会話はいつもかみ合わない。白川華怜は会話を終えると、英語の読解ページに戻った。隣では木村翼が抱き枕を抱えて居眠りしていた。
今日は畑野景明と空沢康利がいたため、木村浩は助手席に座った。
しばらくすると、車は平安キャンパスに入った。
車が停まると、研修所の入り口に高くそびえる看板が見えた——
「博源塾」
「ここは井上先生が設立した夏期講習の拠点で」木村浩は車を降りると、マスクを取り出して付けながら、白川華怜に説明しつつ中へ案内した。「中高生や大学生に数学的思考力のトレーニングを提供する場所だ」
中学生が特別講習に参加するのは、大学の授業を先取りして体験するため。
大学生は大学院進学のため、また一流の学術を体験するため。
もちろん、どの段階でも博源塾への申請は難しく、まず十分な実績が必要だ。
次に推薦者が必要だ。
木村浩は普段から寡黙で、説明も簡潔を極めた。
声も投げやりだった。
しかし、後ろの畑野景明と空沢康利は胸を躍らせながら聞いていた。博源塾、「井上博源」先生が設立した数理研究所、江渡大学理数学科に所属し、無数の人々が切望する夏期講習の拠点。
井上博源が誰かについては、数学オリンピックに参加したことがある人なら誰でも知っている、近代最大の数学者だ。
博源塾の受付室。
中年の男性が今、だらしなくパソコンの前に座り、本を手に読んでいた。
物音を聞いても顔を上げず、「博源塾へようこそ。書類に記入して、鍵を受け取って、寮は出て左……」
話の途中で、突然雰囲気の違和感に気付いた。この微かな圧迫感。
中年男性は急いで顔を上げると、すらりとした冷たい姿が悠々とこちらに向かってきていた。
「き、木村……」中年男性は一言も完全な文章を話せなかった。
木村浩は彼を一瞥し、軽く頷いた。「学生を三人連れてきた」
そう言いながら、少し身を屈め、白い指でテーブルの書類を取り、白川華怜に渡し、ペンも一本取り出してキャップを外した。