140 渡辺文寺のチャンス、白川華怜は藤野院長と約束する

「何?」渡辺文寺は驚いて白川華怜が差し出したものを受け取った。

対立があったため、斉藤笹美は渡辺文寺にイベントチケットを渡さなかった。

彼はイベントチケットを見たことがなかった。

渡辺文寺は興味深そうに下を見た。幅5センチ、長さ十数センチ、全体が薄い青色で、表面には江渡科学館の写真が印刷されていた。

裏返すと、数行の文字が書かれていた——

【量子と情報時代

講演者:木場富山

日時:1月17日午後2時

場所:江渡科学館地下2階講堂】

量子と情報時代……

木場富山……

渡辺文寺は見つめているうちに、突然それが何なのか気づいた。青いチケットを持つ手が微かに震え、指先が少し白くなっていた。

木場院長の講演会は、チケットが入手困難と言っても過言ではなく、会場にいる誰もが業界の大物だろう。