139見知らぬ姉、渡辺文寺にチケットを贈る(2)_2

「行ってきます」

「よかった」渡辺千月はほっと息をつき、ドアを開けて渡辺文寺を中に入れた。「お兄ちゃん、ドアを閉めて」

彼女は大胆にも自分の椅子に座り直した。

ポテトチップスを持ちながら『パーフェクトデー』を見ていた。

「お婆ちゃんが明後日は帰ってこなくていいって」博源塾は渡辺家から遠く、千月は今日渡辺お婆さんに呼ばれて、特に明後日の結婚式には来なくていいと言われた。「勉強が大事だって」

渡辺文寺は床に落ちた本を拾って片付けながら、「じゃあ、行くの?」

「もちろん行くわ」渡辺千月は言った。「まだ一度も会ったことのないお姉さんに会いたいもの」

安藤蘭は彼女と渡辺文寺の両方に優しかったので、千月はこの姉に対して反感を持っていなかった。

渡辺文寺は一瞬止まって、「もしかしたら、もう会ってるかもしれないね」

渡辺千月は振り返った。

「この前言ってた博源塾の女の子、名前は?」

「白川華怜」渡辺千月は彼女の名前を覚えていた。

渡辺文寺:「君の会ったことのないお姉さんも白川華怜っていうんだ」

渡辺千月:「……?」

**

翌日、早朝。

木村翼がまだ目を覚まさないうちに、水島亜美が布団をめくった。「今日は氷釣りに行くのよ」

彼は目をこすりながら起き上がった。

安藤宗次が顔を洗いに行く途中、安藤秀秋と出くわした。突然立ち止まって、「華怜は博源塾の特別入学だったよね?」

安藤秀秋は昨夜水島亜美と一晩中話をしていて、二人とも安藤宗次と木村翼が同じように鈍いことを、なぜ反応がないのかと文句を言っていた。

「……そうだ」安藤秀秋は安藤宗次を奇妙な目で見た。

安藤宗次は「うん」と言って、相変わらず落ち着いてトイレに向かった。

安藤秀秋はようやく気づいた——

安藤宗次が手足を同時に動かしている。

「……」

渡辺文寺と斉藤笹美のことがあったので、渡辺泉と安藤蘭は今朝早くから安藤宗次たちに朝食を届けに来ていた。朝食を置いたところで、渡辺瑞恵からの電話を受けた。

「どうしたの?」水島亜美は木村翼を連れて出てきて、渡辺泉の眉間にしわが寄っているのを見た。

彼女は木村翼の歯磨き粉を出して、トイレに行って歯を磨くように指示した。