139素面の姉さん、渡辺文寺にチケットを届ける(2更)

「彼女が数学で満点?」松木皆斗の頭の中が一瞬で爆発した。

ずっと不思議に思っていたことがようやく説明がついた。

なるほど、白川華怜があの時、陽城市で彼に言った枠のことを気にしていなかったわけだ。

なるほど、彼が博源塾で彼女を見かけた理由も。

中間テスト以来、彼の頭上にのしかかり、ほとんどトラウマとなっていた数学の満点は……

白川華怜だったのか?

空沢康利と畑野景明が陽城第一高校の生徒だということは知っていた。今やっとある点に気づき、机に手をついて立ち上がった。「つまり、前回の統一テストで数学150点だったのは彼女?じゃあ今回の数学と理科総合は?」

塾で畑野景明とも話したことがあり、相手は数学も物理もよくできる、特に物理が得意だった。

だから松木皆斗はずっとその150点は畑野景明のものだと思っていた。

「そうだよ」空沢康利は松木皆斗の大きな反応に驚いて、戸惑いながら答えた。「数学はもちろん華怜さんだけど、理科総合は畑野が一位だった」

白川華怜が理科総合で一位ではないと知り、松木皆斗は大きくため息をついた。

しかし次の瞬間、プレッシャーが潮のように四方八方から押し寄せてきた。

150点……

彼女の数学はそんなに凄いのか?

彼は顔を上げ、呆然と白川華怜の方向を見つめた。

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渡辺家。

大野会長は新年の贈り物をお婆さんに届けさせ、渡辺お婆さんに別れを告げた。「お婆様、渡辺社長、斉藤さん、私は明日出国しますので、今から早めに新年のご挨拶をさせていただきます」

明後日は渡辺泉の結婚式で、彼は明日出国する。

渡辺お婆さんは大野会長のこの行動に意見はなく、むしろ後押しするような様子で、笑顔で言った。「ご丁寧にありがとう」

渡辺泉は大野会長に頷いただけで、何も言わなかった。

大野会長は挨拶を済ませて渡辺家を出た。出る時にちょうど渡辺文寺の車を見かけた。

「旗谷くん、明日会社に行って様子を見てきてくれ」大野会長は車に乗り込むと、顔も上げずに運転手に言った。「渡辺家が何を企んでいるのか、それと君も、企画書の一次修正も二次修正もこの程度か、少しも進歩が見られないな……」

運転席の旗谷くんは実直で素朴な性格で、大野会長の叱責に対して何も言えなかった。