137 白衣、閻魔に会う(2更)_2

「一卓だけよ」渡辺泉は彼女を一瞥した。

一卓だけ?

こんなに少ないの?

渡辺瑞恵は少し意外に思った。

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安藤宗次たちが向かったのは田中家の私設博物館で、午後2時の入館予約をしていた。

渡辺文寺は近くの駐車場に車を停め、一行を博物館へと案内した。

博物館は興和区の最西端、司門区との境界にあった。

博物館全体は庭園風で、正門は広々とした門楼で、毎日入場制限があり、この時間の予約待ちの人は多くなかった。

田中家の私設博物館は広大で、誰もが知っているように、ここには主に白川家の遺品が保管されており、一般公開は無料だが、一日の入場者数は千人余りに制限されていた。

渡辺文寺たちは列に並んで入場し、広大な敷地を持つ博物館の廊下を進むと、中央の第一展示室が見えてきた。

最初に目に入るのは、中央のガラスケースに保管されている甲冑だった。

館内の解説員の声がマイクを通して聞こえてきた。「皆様、こちらは白川樹將軍の甲冑です。重さは112斤もあります。このような重い甲冑を身につけながら、長槍で敵将の首級を討ち取ったことを想像してみてください…」

甲冑を過ぎると、両側のガラスケースには日用品が展示され、両側には上階へ続く階段があった。

上階は2層あった。

「3階には白川家の書簡があります」渡辺文寺はここは初めてではなく、安藤宗次たちに説明した。「まずは2階へ…」

「裏庭へ行こう」安藤宗次は首を振り、煙管を手に1階を通り抜け、コンクリートの道を伝って裏庭へ向かった。

渡辺文寺は一瞬驚いたが、安藤宗次の後を追った。

裏庭全体は1ヘクタールの庭園で、コンクリートの道は細く、両側には歴史ある古木が立ち並び、道行く人は少なく、他の見どころもなかった。

400メートルほど歩くと、ついに陵墓に到着した。

陵墓の両側には線香と蝋燭が置かれていた。

木村翼は慣れた様子で左側から線香を一本取った。

しかし彼は背が低く、この時誰も彼に気付かなかった。全員の視線は目の前の石墓に注がれていた。9段の階段の上には、やや損傷した石碑があった。

渡辺文寺でさえ、この歴史を知っていた。

彼は石碑を見上げた。

初めてではないにもかかわらず、渡辺文寺もこの石碑の文字に圧倒された。血なまぐさい反骨の気が迫ってきた。