その顔を、彼が間違えるはずがない!
水島御剣はお茶を持つ手が震え、レースのテーブルクロスにお茶をこぼしてしまった。
彼は「バッ」と立ち上がり、「あ、あなたがなぜここに…」
安藤宗次と話していた田中局長も立ち上がった。
木村翼は水島亜美の隣に座り、白川華怜は木村翼の隣に、木村浩は白川華怜の隣に座った。彼は物憂げに椅子を引き、安藤宗次に挨拶をしてから、二人に目をやって「座れ」と言った。
彼はテーブルを軽く叩いた。
田中局長と水島御剣はようやく慎重に座った。田中局長はまだましだったが、水島御剣は今やお茶も飲めないほどだった。
木村浩は公の場に姿を見せず、その身分も極秘状態にあり、彼を知る人は確かに少なかったが、水島御剣は田中家で会ったことがあった。
渡辺泉は田中局長と水島御剣の態度を見て、木村浩の身分が並大抵のものではないと推測したが、自分の知る人物とは一致しなかった。