153藤野院長、藤野悟志の外付け友達(2回目)_2

「ありがとう。結構です。この後、釣りに行くので」安藤宗次は中村家での食事を断り、丁寧に言った。「皆さんも行きませんか?」

社交辞令なんて誰でも言える。

中村優香は作り笑いを浮かべて、「私は宿題があるので」と言った。

「それは残念だ。私も用事があるので」中村修は特に残念そうな口調で言った。

彼は藤野会長に会いに行かなければならなかった。藤野家の件がなくても、中村修は安藤宗次と一緒に釣りには行かないだろう。渡辺泉がいれば、彼らと少し釣りをするかもしれないが。

彼は丁寧に安藤宗次を玄関まで見送った。

今は藤野家の件が最優先だ。

家に戻ると、中村修は「暇がない」はずの中村優香を連れて藤野信幸に会いに邸宅へ向かった。

藤野信幸は朝から書道の練習をしており、藤野助手が中村修と一緒に座って待っていた。一時間待って、やっと藤野信幸が降りてきた。

「藤野会長」中村修は彼と少しの間世間話をしてから尋ねた。「お探しの方は誰でしょうか?陽城市には知り合いが多いので、お探しのお手伝いができるかもしれません」

「実を言うと」藤野信幸は茶碗を置き、顔を上げた。「私の兄のことです。彼は我が藤野家と少々誤解があって」

藤野信幸の兄?

中村修はそんな話を聞いたことがなかった。

傍らで、藤野信幸の助手は中村修と中村優香を見て言った。「大伯父様は江渡音楽学院の院長で、江渡文化振興局の局長です。江渡千代区にお住まいです」

江渡音楽学院?江渡文化振興局?

中村修は心臓が跳ねた。北区の藤野家にこんな親戚がいたとは。

そう考えながら、彼は藤野信幸に対してより一層恭しく、「注意を払うよう人々に伝えておきます」と言った。

藤野助手はこの二人を見て、中村優香と中村修が江渡千代区に住むということの意味を全く理解していないことがわかった。

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白川華怜は朝からいつも通り図書館に行った。

木村浩は白川華怜の隣に座って論文を書き、みんなそれぞれ自分の仕事に取り組んでいた。

昨日一日中、藤野悟志はここで非常に落ち着かない様子だったが、今日はましになっていた。まだ少し落ち着かない様子ではあったものの、昨日のように時々時計を見るようなことはなくなっていた。

木村浩がいると、藤野悟志はトイレに行くのにも大きな決心が必要だった。