160安藤宗次の秘密、小人の悪だくみ_2

木村浩は顔を上げ、薄い瞳には相変わらずの冷たさが宿っていた。明石真治はそれ以上覗き込む勇気がなく、手が震え、慌てて視線を外し、ハンドルに手を置いた。

急いでアクセルを踏んだ。

後部座席で、木村浩はライトを一つ消し、木村翼の睡眠用に一つだけ残した。手を伸ばしてボタンを一つ外した。

仕切り板の上の携帯電話を手に取り、番号を押した。

「若様」電話の向こうから、やや年配の声が非常に恭しく響いた。「随分とMTR研究所に来ていらっしゃいませんが、あちらの教授がお尋ねでした。」

「行かない」木村浩はリラックスした姿勢で後ろに寄りかかり、一つのライトが彼の右側に斜めに落ちて、顔の大半が影に隠れていた。声は怠惰そうだった。

「お体の生態指標が...」

木村浩は遮った。「薬を飲んでいる」

「お薬を?」向こう側が驚いた様子。

「ああ」木村浩は窓を少し下げ、風が入ってきた。彼は口角を軽く上げた。「誰かが私に薬を処方してくれた」

冷淡でありながら、どこか密かな得意げさも感じられた。

「...」木村執事は長い間沈黙した後、「MTR研究所の採血チームを陽城市に向かわせましょう」と言った。

木村浩は適当に返事をした。

「若様」木村執事は更に注意を促した。「宗族は既にあなたとある令嬢との交際を知っているようです。そして...おそらく伯父様もご存知かと」

木村浩はこの話題になると、表情から緩みが消え、冷たい表情になった。「そんなことは彼らの関知するところではない」

電話の向こうで。

執事は軽くため息をついた。

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安藤宗次は十五組の生徒たちの卒業式用の服をデザインすることになり、今も中庭でデザイン画を描いていた。

藤野院長はパジャマ姿で傍らでそのデザイン画を見ていた。

安藤宗次は先に女子用のデザイン画を描いていた。宮山小町がクラスの意見を集めており、男子は特に意見がなく安藤宗次に任せる一方で、女子たちは大胆なアイデアをたくさん持っていた。

「華怜」白川華怜が戻ってきたのを見て、安藤宗次は顔を上げ、少し躊躇いながら尋ねた。「クラスの卒業式用の服だけど、深紅色は大丈夫?」

白川華怜がここに来た当初、安藤宗次は彼女のために派手な色のドレスを作ったが、彼女はずっと着ていなかった。