186江渡の名誉校友、真の先輩、遠山律夫が帰ってきた!_2

渡辺颯と親しい名誉校友は二人だけで、木村浩と木村錦だった。

「そうなんだ」白川華怜は頷いて、右肘を車の窓に何気なく置き、表情は怠そうで、手でスマートフォンを弄んでいた。

オープンカーの風が彼女の髪を揺らしていた。

どうしてこんなにも落ち着いた、何でもないような口調でいられるのだろう?渡辺颯は一瞬彼女を見て、完全に感心した。

もちろん、名誉校友なんて...

渡辺颯は知るよしもなかったが、名誉校友どころか、実は白川華怜は江渡大学の全ての名誉校友の大先輩だった。

結局のところ、江渡大学の初代学長は彼女の直系の師匠だったのだから。

**

西区の団地。

「もうすぐ大学入試ね」白髪の老婆が島田凜の手を握り、その手の甲には深いしわが刻まれていた。優しい眼差しで続けた。「大学に入ったら、お金が必要になるわ」

そう言いながら、青いジャケットのポケットからハンカチを取り出し、島田凜の手に置いた。

島田凜の祖父母は田舎に住んでいた。以前は島田権平が借金を作ると、実家に戻って大騒ぎして両親からお金を要求し、祖父母まで殴っていた。

今は彼が刑務所に入っていると聞いて、二人はようやく島田凜に会いに来る勇気が出たのだ。

「要りません。お金はあります」島田凜はお金を受け取らず、部屋に戻ってベッドの下から鉄の箱を取り出した。中には前回引き出した二千円が入っていた。

その中から五百円を数えて二人に渡そうとした。

「バイトはもうやめなさい。勉強に専念するんだ」ずっと黙って立っていた島田お爺さんがようやく口を開いた。「村で漢方薬の収穫があってね、私たちはかなりの収入があったんだ。まだたくさん栽培しているし、ずっと買い取ってもらえるから、安心して使いなさい。私たちのことは心配しなくていい」

島田凜は頑なにお金を渡そうとした。

島田お婆さんは五百円を受け取り、他のことを尋ねた。「お姉さんは見つかった?」

島田凜は首を振った。

「ああ」島田お婆さんは窓の外を見つめ、ぼんやりと言った。「無事でいてくれればいいけど」

二人は昼食を済ませるとすぐに帰っていった。

島田凜は二人を見送り、部屋に戻ってバイトに行くために着替えようとした。週末は二つのバイトがあった。