189 天才の出現、番組予告(2更)

白川華怜は曲がり角を曲がり、階段を下りてくる二人の学生を避けながら下に向かい、眉を上げた。「あなたは?」

女性の声が聞こえるとは思っていなかったようで、電話の向こうの声は明らかに一瞬止まった。ためらいながら二秒後、続けて言った。「私は江渡大学アプリの責任者ですが、端末の所有者本人でしょうか?」

アプリの登録には招待コードと電話番号しか必要なかった。

彼らのバックエンドではそれしか確認できない。

白川華怜は階段を上りながら、のんびりとした口調で答えた。「はい、そうです」

電話の向こうの声はさらに好奇心を示した。「毎年恒例の新入生交流会が始まります。江渡大学の講堂で開催されます。先輩方から経験を共有していただく予定ですが、バックエンドであなたの情報が未記入のままですが、参加されないのでしょうか?」

彼は江渡大学と先輩方という言葉を強調した。これは人脈を広げる良い機会だと。

毎年ほとんどの人が参加する中、今年は渡辺千月と本田直哉以外に、突然現れた「白川博」に対して皆が興味を持っていた。

なぜなら……

彼女は今や解答のテンプレートになっていた。

さらにその二人も彼女に注目していることもあり、多くの人が彼女が一体何者なのか知りたがっていた。

白川華怜は丁寧に断った。「申し訳ありません。時間がないので」

彼女はさらに二言三言付け加えて、電話を切った。

同時刻、江渡大学総合棟の事務室では、眼鏡をかけた青年が受話器を持ったままの姿勢でいた。隣の人が待ちきれずに「どうだった?何て言ってた?誰なの?来るの?」

事務室内の全員が彼を見つめていた。

青年は我に返り、少し間を置いて「分かりません。多分来ないでしょう。女子学生でした……」

「もう一度聞いてみて」隣の人が彼の腕を掴み、真剣な様子で言った。「絶対来てもらわないと!彼女の情報を探っている人がどれだけいるか分かってる?」

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二階の事務室で、白川華怜が到着した時、室内には奥田幸香一人しかいなかった。

白川華怜を見て、彼女は優しく微笑んだが、すぐには話し出さなかった。

白川華怜も急がず、おとなしく横で待っていた。

約二分後、奥田幸香は引き出しを開け、中から束になった現金を取り出した。「白川さん、これは島田凜の医療費です」

彼女はお金を白川華怜に差し出した。