188白川さんいいものを食べて_3

「ほら、木村翼は頭のいい人としか話さないんだ」と渡辺颯は隣にいる松本章文に言い、少し間を置いて「白川華怜ちゃんのようにね」と付け加えた。

木村翼は年は若く、字をあまり知らないが、数字に関しては生まれつき非常に鋭い感覚を持っていた。

松本章文は木村翼が若いながらも多くの教授から重視されていることを知っていた。この才能は普通の天才とは異なり、山田文雄たちと比肩できるものだった。

渡辺颯の言葉を聞いて、松本章文は「顔で判断しているんじゃないのか?」と言った。

「以前は私もそう思っていた」と渡辺颯は昼に見た光景を思い出しながら、ため息をつき、餌を取り直して錦鯉に与えながら「まあいい、君には分からないだろう」と言った。

松本章文は確かに理解できなかったので、話題を変えた。「こちらの契約は決まった。私は数日後に江渡に戻る。今年の江渡大学の新人交流会もまもなく始まる。本田直哉は来るのかな。それに山田文雄については私にはどうしようもない。あなたのお爺さんの件は…」