大永もいた。
安藤宗次はラジオを聴くのが好きで、家にはテレビがなかった。
隣で、渡辺颯は素早く反応した。「白川華怜ちゃん、僕が...」
言い終わる前に、隣の木村浩が車のキーを持って颯然と立っているのが目に入った。相変わらずの冷淡な表情で彼を見つめていた。
渡辺颯はその淡い瞳から漏れ出る殺気を感じ取った。
彼は強引に話を変えた。「木村さんはテレビを選ぶのが上手なんです。」
木村浩は彼を連れて行かなかった。渡辺颯は一人寂しく、その場に立ち尽くし、黒い車が遠ざかるのを見ながら、顎に手を当てて「日曜日は何のテレビを見るんだろう?」
エンターテイメントについてよく知らない彼は、携帯を開いて松本章文に尋ねた。
江渡にいる松本章文はすぐに電話を返してきた。少し疲れた様子の声で「颯、どんなテレビかは分からないけど、白鳥春姫がバラエティ番組に出るらしいよ。」